研究課題/領域番号 |
23K11708
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
廣井 孝介 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究副主幹 (70813715)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 中性子小角散乱 / スピンエコーSANS / 中性子Wollastonプリズム |
研究実績の概要 |
2023年度は、スピンエコーSANS実験を行うための、最重要開発項目である中性子Walastonプリズムの製作に向けて、設計を開始した。中性子Walastonプリズムは三角形ソレノイドコイルを組み合わせた構造であり、研究目的であるなるべく大きい構造の超小角散乱情報を取得するためには、なるべく強い磁場を印加できるコイルデザインが必要となる。 当初、超伝導線材を利用したコイルを製作できないかと考え、複数の研究用超伝導電磁石メーカーに問い合わせを行ったが、Walastonプリズムの特殊な構造ゆえに容易に製作できないとの回答しか得られなかった。 そこで当初の予定通り、常伝導ソレノイドコイルを組み合わせた構造で検討を進めることとし、目標とする1μm近傍の超小角散乱情報を取得するためのコイル設計を手持ちの磁場計算ソフトウェアにより行った。実験実施を検討している中性子ビームラインに設置可能で上述の条件を満たすためには、約15 - 20 mT程度の磁場が必要であると計算されるが、中性子透過率の高いアルミワイヤーのソレノイドコイルデバイスでは発熱量が大きく、Walastonプリズムを冷却する機構が必要であることが分かった。そこで、Walastonプリズムの壁面に冷却ブロックと水冷用の配管を設置し、水冷にて強制冷却することで、20 mTの磁場を安定して印加できるWalastonプリズムのデザインの見通しがたった。 現在、コイル製作メーカーにデザイン案を送り、製作を行なっている状況にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、2023年度中に中性子Wollastonプリズム試作機を完成させる予定であったが、超伝導デバイスの検討や、ソレノイドコイルの設計に時間を要したため完成が2024年度前半に遅れた。以上のことから、現在までの進捗状況はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度で中性子Walastonプリズムのデザインは固まったため、それを2024年前半までに完成させ、中性子を用いた実験のための調整を進める。また、J-PARC MLFの中性子ビームラインのビームタイムの申請を行っており、2024年度の秋から冬の運転サイクルで、最初のスピンエコーSANS実験を実施できる見通しである。そこで、スピンエコーSANSデータの取得に成功すれば、SANS情報にフーリエ変換するためのテストデータが得られ、解析コード作成の検討も進むものと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初2023年度中に中性子Walastonプリズムの製作に移るはずであったが、設計に時間を要したため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、2024年度にその製作費用として使用する計画である。
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