研究課題/領域番号 |
23K11710
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
阿部 仁 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (00509937)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 固液界面 / XAFS / 全反射 / in situ測定 |
研究実績の概要 |
固体と液体が接する固液界面は、様々な化学反応が進行する反応場であり、基礎科学としても応用展開を考える際にも極めて重要な研究対象である。研究成果の社会実装の観点では、人工光合成の過程としても鍵となる水分解反応は極めて重要な固液界面反応の一つである。固液界面の研究では、液体中でも観察可能なSTMによって電極表面(固液界面)の様子を原子分解能で明らかされてきた。しかしながら、固液界面反応の動的変化、反応に影響を受ける数原子層程度の界面の挙動は未解明な部分が多い。固液界面反応の理解をさらに進めるには、固液界面敏感に局所構造や酸化数・化学状態の情報を得ること、in situ環境で時間分解測定によりリアルタイム追跡すること、が必要と考えられる。ところが、固液界面から数原子層程度の固体表面領域については、適切な観察手法に乏しく、充分な理解が得られていないのが現状である。そこで、固液界面で進行する化学反応を数原子層程度 (~2 nm以内) の感度で捉えて観察できる手法を開発し、水分解反応などの固液界面反応の反応機構の理解から、より良い水分解触媒材料の開発に寄与したいと考えた。 このような目的意識から、申請者がこれまでに開発してきた表面敏感な"XAFS"測定手法、全反射X線分光法 (TREXS, Total REflection X-ray Spectroscopy)をベースに、固液界面系に適用できるように高度化・開発することとした。 初年度である2023年度には、固液界面測定用のin situ TREXSセル本体を設計、製作した。また製作した固液界面in situ TREXSセルを用いて、テスト試料の測定を行い、固液界面TREXSスペクトルを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のように、固液界面測定用のin situ TREXSセル本体を設計、製作した。またこれを用いて固液界面TREXSスペクトルを得た。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り進める。特に、初年度で得られた固液界面TREXSスペクトルの解析を進め、データの質向上を目指す。また、他の元素、材料の測定も行い、実際上の十分な質での測定可能エネルギー範囲等の詳細を調べる。
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