研究課題/領域番号 |
23K11740
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
高村 秀紀 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (60377645)
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研究分担者 |
大塚 雅之 関東学院大学, 建築・環境学部, 教授 (20288088)
山口 温 関東学院大学, 建築・環境学部, 教授 (40276621)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 無償労働 / 省力化 / 省エネルギー / アンケート調査 / ライフスタイルデザイン |
研究実績の概要 |
本研究は、IoT家電機器の利便性の指標となる無償労働金額を考慮した省力化の効果を総合的に定量評価する仕組みを構築することで、新たな設備導入の指標を構築することを目的とする。令和5年度は主に①無償労働を中心としたライフスタイルの分析・評価と②ロボット導入による省力化の効果の検証に関する研究を行った。 【無償労働を中心としたライフスタイルの分析・評価】無償労働の実態を明らかにするためのアンケート調査を実施した。調査の実施に際し、アンケート調査項目の検討を行った。回答者属性、1週間における無償労働時間、自動化に対する需要、余暇時間の活用方法である。アンケートはWEBで回答できるようにした。アンケート調査は令和6年1月5日から開始し、現時点で38件の回答を得た。分析により、家事の中で調理の実施時間が最も長く、平均で5時間38分であった。その一方で、実施時間は短いが部屋の窓掃除や設備の手入れを自動化したいと回答する人が80%となり、最多となった。 【ロボット導入による省力化の効果の検証に関する研究】アンケート調査結果より掃除の中で部屋の床掃除の実施時間が最長であったため、ロボット掃除機を対象とし、床掃除の自動化による省エネ・省力化の検証を行った。ロボット掃除機とスティック掃除機のそれぞれで掃除を行い、消費電力量と掃除時間を比較した。結果、ロボット掃除機の消費電力量がスティック掃除機より大きいことが明らかになった。掃除機の稼働時間は、ロボット掃除機の方が長いが、人が行う無償労働時間はスティック掃除機の方が長い結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【アンケート調査】無償労働の実態を明らかにするためのアンケート調査項目を確定することが出来た。調査項目を確定させる際には研究分担者とWEB会議を複数回行った。WEB制作会社に依頼をして、アンケート調査項目に基づき入力内容に誤りが無いような仕組みで、入力後に回答内の用の修正が可能となるWEBアンケートフォームを作成した。セキュリティの関係からgoogleformは使用せず独自のフォームを作成し、研究室のホームページで使用しているサーバーでの運用とした。なお、調査は個人情報を含むため信州大学工学部ヒトを対象とした研究に関する倫理小委員会に申請して許可を得ている。作成したフォームによりアンケート調査を令和6年1月5日より開始し、現時点で38件の回答を得た。また、アンケート結果について分析に着手した。 【家事負担削減に対する製品の現状調査】キッチン、浴室、脱衣所、洗面所、トイレ、居室、開口部、内装、外部空間について、家事負担削減に対する製品の実態調査を各社ホームページのオープン情報をもとに整理した。併せて関連する数値情報についても整理した。 【家事の自動化に関する実験】ロボット導入による省力化の効果検証に関する実験について掃除機を対象に実施した。そして、ロボット掃除機とスティック掃除機による人が実施する時間の比較や消費電力について比較することが出来た。 これらの結果を日本建築学会全国大会、日本建築学会北陸支部大会、空気調和・衛生工学会全国大会に投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
アンケート調査について目標回答数である400件に到達するために回答者数を増やすことに取り組む。具体的にはyahooクラウドソーシングのようなサービスを活用する予定であるが、どのサービスが最適か慎重に検討を行う。令和5年度に得たアンケート結果についてクロス集計など詳細な分析を実施し、無償労働の実態を明らかにするとともに自動化の要望が高い家事を明らかにする。また、令和5年度に実施した各社の家事負担削減に対する製品の現状調査結果や、アンケート調査結果から得た自動化の要望が高い家事などを参考に、検証実験を行う家電製品などを選定し、自動化導入による余暇時間の増加時間や省エネルギー効果に関する実証実験を実施する予定である。また、アンケート調査結果を詳細に分析し、自動化により得た余暇時間の使い方についても明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者が使用予定のアンケート調査は研究代表者の予算で実施した。また、アンケートの分析については研究代表者の研究室所属の学生が実施したため、研究分担者が使用予定の謝金を使用しなかった。アンケート調査項目に関する打合せは全てWEBで実施したため、研究分担者が使用予定であった打ち合わせ旅費を使用しなかった。 差額については令和6年度に家事の自動化に関する実験を実施するために家電製品や実験に必要な計測機器などを購入する予定である。また、アンケート調査結果の分析のためのアルバイト費を支出する予定である。
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