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2023 年度 実施状況報告書

創造的対話による建築デザインを通した実践共同体の拡張プロセスに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K11748
研究機関関東学院大学

研究代表者

酒谷 粋将  関東学院大学, 建築・環境学部, 准教授 (20772148)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード対話 / デザイン / 実践共同体 / ワークショップ / マインドセット / 創造性
研究実績の概要

今年度は、これまでに取り組んできた多主体による建築設計のプロジェクトにおけるワークショップの実践記録を対象に、いくつかの視点からその分析を行った。それに加え、まちづくりの実践共同体の形成プロセスの起点となるその構成員のマインドセットに関する調査・分析をおこなった。具体的な内容は以下の通りである。
まずワークショップの実践記録を対象とした分析について、大きく3つの観点からの分析を行った。第一にワークショップにおける参加者らの思考に着目し、ワークショップの題材として予定調和的ではない飛躍を伴うデザインの案を提示することが、その後の参加者らの活発なデザインについて思考の展開につながることを示した。第二にワークショップへの参加者らの世代のギャップに着目し、単純に世代を混ぜ合わせたグループ編成をするのではなく、まずは世代ごとにグループを分けた対話を行った上で混成グループを形成した対話を行う2段階の構成によるワークショップを実施し、その分析を通して前半の世代別の対話がその世代の特徴を色濃く表すアイデアの生成の場となっていると同時に、そうした特徴あるアイデアが後半の対話の中で新たなアイデアの生成につながることを示した。第三にワークショップにおける対話を人と人との対話のみに着目するのではなく、模型や図面等の“モノ”にも着目した分析を行った。その結果、モノの存在が人と人との対話を媒介したり、人ごとにことなるモノについての解釈や理解が新たなデザインのアイデアにつながるプロセスを明らかにすることができた。
次にまちづくりの主体のマインドセットに着目した分析として、これまでの研究で実施していた横浜市の実施する「ヨコハマ市民待ち普請事業」の選定団体を対象としたインタビュー記録の分析から、まちづくりの主体がその活動を継続・展開する心理的条件にかかわる要素や概念の抽出とその体系化を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画書においては①デザインの実践②共同体の形成プロセスの記述・分析③マインドセットの調査を定めていた。①については計画通り、②についてはワークショップの記述・分析にとどまっており、共同体の形成プロセスについては深くは触れられておらず、③については次年度以降に想定していた分析作業が大きく進んだことから、総合的にみて現在研究の進捗状況として「おおむね順調に進展している」と判断した。

今後の研究の推進方策

今回分析の対象としていた実践プロジェクトとは別に、新たな実践プロジェクトが今年度から始動する予定であり、実践活動を進めるとともにその記録と分析を行う。またこのプロジェクトは以前のものよりも関係者も多く、共同体の在り方についても詳細な分析が可能であると見込んでおり、初年度に大きな進展が見られなかった実践共同体の形成プロセスについての研究計画の部分に切り込んだ活動を推進していきたい。

次年度使用額が生じた理由

初年度の研究費残金は予算執行上の端数であり、当初の計画通り執行を進めた。次年度も計画通りに予算執行を進める予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] 世代を超えた対話を導く建築デザインワークショップ2024

    • 著者名/発表者名
      荒川百花, 酒谷粋将
    • 雑誌名

      関東学院大学理工/建築・環境学会研究報告

      巻: Vol.67 ページ: pp.39-45

    • 査読あり
  • [雑誌論文] デジタルツインをもとに建築の可能性を探究する設計空間プラットフォームの構築2023

    • 著者名/発表者名
      高田奈緒子, 酒谷粋将
    • 雑誌名

      Designシンポジウム2023 講演論文集

      巻: オンライン ページ: pp.11-14

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 建築デザインの多義性を構成する対話のプロセスにおける言い換えの戦略2023

    • 著者名/発表者名
      風間楓, 酒谷粋将
    • 雑誌名

      Designシンポジウム2023 講演論文集

      巻: オンライン ページ: pp.15-21

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 多主体による対話のプロセスにおける飛躍を伴うデザインの提示とそこから広がるデザイン思考2023

    • 著者名/発表者名
      荒川百花, 酒谷粋将
    • 雑誌名

      Designシンポジウム2023 講演論文集

      巻: オンライン ページ: pp.89-94

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] まちづくりの主体が持つクリエイティブ・コンフィデンスの形成プロセス-ヨコハマ市民まち普請事業を対象としたインタビュー調査とM-GTAを用いた発話分析を通して2023

    • 著者名/発表者名
      小村遥香, 酒谷粋将
    • 雑誌名

      Designシンポジウム2023 講演論文集

      巻: オンライン ページ: pp.164-171

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] M-GTAによる発話分析に基づくまちづくりのクリエイティブ・コンフィデンスに関する研究(その1) まちづくりの始動期におけるマインドセットと戦術2023

    • 著者名/発表者名
      小村遥香, 谷中健斗, 酒谷粋将
    • 学会等名
      日本建築学会大会学術講演梗概集 2023(都市計画)
  • [学会発表] M-GTAによる発話分析に基づくまちづくりのクリエイティブ・コンフィデンスに関する研究(その2) コミュニティ形成と持続するまちづくり活動2023

    • 著者名/発表者名
      谷中健斗, 小村遥香, 酒谷粋将
    • 学会等名
      日本建築学会大会学術講演梗概集 2023(都市計画)
  • [学会発表] ユーザーの創造性を掻き立てる建築デザインワークショップに関する研究(その1) 飛躍を伴う案の提示とデザインアイデアの発散2023

    • 著者名/発表者名
      荒川百花, 髙田奈緖子, 尾坂圭介, 酒谷粋将
    • 学会等名
      日本建築学会大会学術講演梗概集 2023(建築計画)
  • [学会発表] ユーザーの創造性を掻き立てる建築デザインワークショップに関する研究(その2) 世代別の意見の比較とそこから拡がるアイデアの特徴2023

    • 著者名/発表者名
      髙田奈緖子, 荒川百花, 尾坂圭介, 酒谷粋将
    • 学会等名
      日本建築学会大会学術講演梗概集 2023(建築計画)
  • [学会発表] ユーザーの創造性を掻き立てる建築デザインワークショップに関する研究(その3) モノを介した対話のプロセスから生まれるデザインのアイデア2023

    • 著者名/発表者名
      尾坂圭介, 荒川百花, 髙田奈緖子, 酒谷粋将
    • 学会等名
      日本建築学会大会学術講演梗概集 2023(建築計画)

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公開日: 2024-12-25  

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