研究課題/領域番号 |
23K11777
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研究機関 | 相模女子大学 |
研究代表者 |
池下 花恵 相模女子大学, 学芸学部, 教授 (50709847)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 公共図書館 / 児童サービス / プリント・ディスアビリティ / 情報アクセス |
研究実績の概要 |
公共図書館での利用しやすい書籍等を活用した読書環境は,印刷物を読むことが困難な子ども(以下,プリント・ディスアビリティ児)に読書の楽しみを与える可能性がある.本研究では,公共図書館における情報発信に着目し,子どもの読書活動において,アクセシブルな情報発信・検索システムの活用がプリント・ディスアビリティ児の公共図書館利用にどのような影響を与えるか明確化することが目的である. 2023年度は,(1)国内の公共図書館におけるプリント・ディスアビリティ児のための児童サービスの取り組み,(2)利用しやすい書籍等を提供するための環境整備の現状,2点を調査した.(1)では電子図書館サービスが導入されている公共図書館を対象に調査協力が得られた図書館員へのヒアリング調査を行った.ヒアリング調査が実施できなかった公共図書館ではオンラインの調査フォームにて回答を求めた.調査内容は,主に「1. 子どもが資料を見つけやすくするための読書環境」「2. りんごの棚の取り組み」「3. 小学校との連携や協力」「4. 図書館における関連法律への対応」の4点についてであった.「りんごの棚」とは,スウェーデンの公共図書館で始まったプリント・ディスアビリティ児のための利用しやすい書籍等を収集し,公共図書館でそれらをすぐに見つけることができるような児童サービスの取り組みである.現在は,すべての子どもを対象とし誰もが読書を楽しめる場所として日本の公共図書館においても普及し始めている.調査の結果,読書環境の整備では子どもが目的の資料を見つけることができるような環境整備がなされているが,プリント・ディスアビリティ児のためのイベントやサービスなど,りんごの棚に取り組んでいる公共図書館は少なく,今後の課題として挙げられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の研究計画通り,公共図書館におけるプリント・ディスアビリティ児のための児童サービスに関する文献調査などを行い,公共図書館の担当者への調査を実施した.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の結果を踏まえ,読書バリアフリー法,障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法への対応状況について,公共図書館の障害者支援サービスおよび児童サービスの担当者にヒアリング調査を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた視察およびヒアリング調査において,一部調査を実施することができなくなったため,予定していた調査を延期したことにより次年度使用額が生じた.また,調査の記録および分析のためのノートパソコンが故障したため,2023度の繰越分は,次年度の視察およびヒアリング調査費,調査の記録および分析のためのノートパソコンの購入費に充当する予定である.
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