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2023 年度 実施状況報告書

写真の「考古学」の基盤構築に向けた実践研究:被災写真の資料化を手段として

研究課題

研究課題/領域番号 23K11781
研究機関関西大学

研究代表者

溝口 佑爾  関西大学, 社会学部, 准教授 (80780569)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワード被災写真 / 写真理論 / ビッグデータ / 深層学習 / 画像解析
研究実績の概要

本研究は、その構造をできる限り保ちながら被災写真を資料化する試みを通じて、写真データの偏りを測るための試金石を得ると共に、非言語的な特徴量に着目して解析を行う 写真の「考古学」の基盤を構築することを目的としている。2023年度は被災写真の位置付けについて理論的な考察を行い、その成果を2本の学術論文として公表した。溝口(2024a)では被災写真の災害アーカイブの中における特殊性を論じ、記録意図が限りなくゼロにちかい災害アーカイブの特徴とその発展性について述べた。溝口(2024b)では写真の理論的研究における被災写真の特殊性を論じ、ミシェル・フーコーによる人文的な「考古学」を、エルキ・フータモやユッシ・パリッカらが進めるメディア考古学とは異なる形に発展させる可能性が被災写真研究に含まれていることを確認した。当初2023年度に予定されていた被災写真の資料化に関する検討は、予期せぬ事態により次年度以降への延期を余儀なくされたが、想定外の事態に遭遇しながらもそれによる中断を最小限に抑え、研究目的の達成に資する研究を質を損なうことなく蓄積することができた点で、研究は概ね順調に進展していると言える。

2023年度に発表された学術論文は下記の通りである。
溝口佑爾 (2024a) 「被災写真:予期せぬアーカイブとしての」高森順子編『残らなかったものを想起する:「あの日」の災害アーカイブ論』堀之内出版: 72-111.
溝口佑爾 (2024b)「写真の<考古学>とその設計」『考古学ジャーナル』794: 35-43.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究目的の達成に資する研究を、その質を損なうことなく蓄積することで、研究の継続性を保つことができた点で本研究課題は概ね順調に進展している。2023年度に予定されていた被災写真の資料化について検討は、当初想定していなかった事態が発生したために延期を余儀なくされた。この状況を受け、研究計画を見直し、代替策として被災写真の位置付けについての理論形成およびその成果のアウトプットに焦点を移した。この変更により、2本の学術論文を執筆し公表することができた。以上のことから、想定外の事態に遭遇しながらも、それによる中断を最小限に抑え、質を落とすことなく研究を進行できたと評価している。

今後の研究の推進方策

2024年度は計画通り、海外における事例研究を実施し、現地の研究者との意見交換を通じて新たな知見を得る。2025年度は、被災写真の具体的な保存方法について検討を深めるとともに、2023年度に予定していたフィールドワークを実施し、被災地における写真の保管・活用方法についての考察を進める。2026年度は、これまでの研究成果を総括するための研究会を開催し、報告書の作成を通じて得られた知見を集約する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 写真の<考古学>とその設計2024

    • 著者名/発表者名
      溝口佑爾
    • 雑誌名

      考古学ジャーナル

      巻: 794 ページ: 35-43

    • DOI

      10.11501/6051883

  • [図書] 残らなかったものを想起する2024

    • 著者名/発表者名
      高森順子、矢守克也、杉山高志、磯村和樹、槻橋修、溝口佑爾、松本篤、林田新、武居利史、佐藤李青、竹久侑、福田雄、林勲男、門林岳史、青山太郎、山内宏泰、富田大介
    • 総ページ数
      448
    • 出版者
      堀之内出版
    • ISBN
      978-4909237927

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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