研究課題/領域番号 |
23K11795
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
郷田 直一 生理学研究所, 脳機能計測・支援センター, 助教 (30373195)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | fMRI / 機能地図 / 機能的結合 / 種間比較 / 多感覚 |
研究実績の概要 |
脳が、視覚入力から非視覚的、多感覚的な物体・環境属性(例えば硬さなどの物理的性質や状態)をどのように理解し、その情報を表現しているのかは、これまで明らかにされていない重要な問題である。本研究では、先行研究に基づいて、脳の腹側高次視覚野の働きに着目し、多感覚的な物体・環境属性の認知に関する機能地図、および他の脳領域とのネットワークを超高磁場7テスラfMRI実験により明らかにすることを目的とする。また、ヒトとサルの安静時fMRIデータの解析を通して、多感覚的な物体・環境属性の認知に関わる種間で相同な脳ネットワークを明らかにし、これまで進めてきたヒト・サルの種間比較を一段と進展させるものである。 本年度においては7テスラMRIにより新規に取得した安静時fMRIデータ(本年度6例)、および、ヒト安静時fMRIデータベース(HCP データセット、812例)のデータを用いて、関心脳領域のトポグラフィックな機能地図(レチノトピー、ソマトトピー等)を明らかにするための技術開発等を進めた。順調に進展し、これまで、ヒト・サルの一次体性感覚野、一次運動野、線条体のソマトトピーを明らかにし、その相同性をみることが可能になりつつある。本技術をさらに進め、腹側高次視覚野のレチノトピー解析へと展開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度にヒトfMRI実験の開始を計画していたが、認定操作者ライセンス取得の遅れもあり、サル安静時fMRI実験、解析を優先させることとした。当実験・解析に関しては順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度において開発を進めた解析技術を用いて、腹側高次視覚野のレチノトピー解析等へと展開する予定である。また、ヒトfMRI実験を開始し、腹側高次視覚野の多感覚的性質の解析、機能地図、他脳領野との機能的連絡についても検討を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題ではできる限り現有設備を使用しつつ、老朽化したもの、または性能が不足しているものを順次新しいものへ入れ替えることを計画している。本年度は現有備品を活用することが可能であると判断し、次年度に大型備品(データ保存解析用ワークステーション等)の導入を行うこととした。また、本年度におけるヒトfMRI実験の実施を見送り、本実験実施のための謝金は次年度に使用することとした。
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