研究課題/領域番号 |
23K11808
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研究機関 | 群馬パース大学 |
研究代表者 |
花田 三四郎 群馬パース大学, 医療技術学部, 准教授 (40516811)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 灌流システム / 三次元培養 / 血管化 / 肝細胞 / オンチップデバイス |
研究実績の概要 |
三次元器官の生体外(ex vivo)再構成には血管形成が必須である。本研究では、段階的な組織血管化戦略に基づいて、大型臓器(肝臓)構築の「種」となる血管化組織の生体外再構築を目指す。第一に、血管構成細胞を含む三次元肝細胞凝集体を形成し、血管内腔を有する肝組織を構築の構築を試みる(段階1)。第二に、灌流デバイス上で生体を模した「流れ」を血管内腔を有する肝組織に付与することで、より緻密な血管化組織形成を試みる(段階2)。 2023年度は、(段階1)について、ヒト肝細胞の選定に先立って、モデル肝細胞株を用いて、低接着培養プレートやハイドロゲル法を用いて、安定した細胞凝集体の形成法を確立している。また、ヒト血管内皮細胞及び線維芽細胞を用いたヘテロ細胞凝集体において、安定したスフェアの形成を確認している。今後は、ヒト肝細胞をソースとして実施するので、細胞の選定について複数の候補を絞っている。(段階2)については、予備的検討として、ヒト臍帯静脈内皮細胞を用いた三次元血管の形成と、すでに開発している静水圧を用いた簡便な灌流培養系を用いて、血管内皮細胞を含む血管構成細胞を用いた三次元血管網に培養液による「流れ」を付与したところ、「流れ」の付与により血管形態が有意に変化し、基底膜成分などの発現上昇が確認され、血管形態の安定化に寄与している可能性をを見いだした。また、本実験における灌流デバイスの改良について、デザインの見直しや三次元造形技術を用いた作成法の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
灌流システム等の技術は、再現性高く実施可能となり、「流れ」の評価、血管形態評価についてすすんでいる。デバイスの作製について、三次元造形技術を用いた作成の検討及び協力研究体制も構築している。血管化三次元組織構築については、モデル細胞株を用いて評価を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
肝細胞の選定について、候補が絞られたので、次年度以降(段階1)について目標に沿って実施していく。(段階2)にすすむにあたって、動静脈などの血管構成細胞の組み合わせなどを検討するため、条件検討を行う。また、血管形態などを軸に三次元血管網の灌流による生理学的応答について検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、三次元血管培養系については、これまでの研究資源を活用することができた。高額なヒト肝細胞の検討について次年度の計画に持ち越した。以上から、想定よりも予算を縮小することができた。
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