研究課題/領域番号 |
23K11834
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
村上 慎吾 中央大学, 理工学部, 教授 (40437314)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 光音響イメージング / カルシウムイメージング / 心臓 / ランゲンドルフ灌流 |
研究実績の概要 |
本研究の初年度である令和5年度においては、光音響イメージング装置の改良と、ランゲンドルフ灌流下におけるウシガエルの心臓からの光音響イメージングによる電気活動の計測を行った。ノイズの影響を受けやすい光音響イメージングでのノイズ軽減を行うために、光学系を改良して光音響信号を検出する断面のみを励起させる薄いシート状のレーザ光を発生させる装置を構築し、ファントムとウシガエルの心臓で装置改良の効果を確認した。その結果、計測対象である断面以外からのノイズの発生が抑えられただけでなく、計測可能な深度も改善された。この改善により、心臓壁の表面だけでなく内部まで一度に計測できるようになった。次に、改良された光音響イメージング装置を用いて、カルシウム濃度依存的な吸光試薬や電位依存的蛍光試薬をランゲンドルフ灌流下におけるウシガエルの心臓に適用し、心電図を計測しながら心臓の電気活動の光音響イメージングを行った。その結果、心電図から判断するに心臓の電気活動と同期した心臓のカルシウム動態や電気活動と推測される光音響イメージングの予備的な計測結果を得られることができた。本結果は、我々が知る限り心臓の電気活動を光音響イメージングで計測した初めての結果であり、光音響イメージングが心臓壁内部や内膜まで同時に計測できることから、心臓をはじめとする電気的に興奮することができる組織の計測において、非常に大きな意義があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
世界において前例がなく予備結果を得るのも難しいと思われていた心臓の電気活動の光音響イメージングによる計測が、様々な工夫により初年度から可能になったため。
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今後の研究の推進方策 |
初年度で得られたランゲンドルフ灌流下におけるウシガエルの心臓の光音響イメージングの結果が、心臓の動きを抑えきれていないことによるアーチファクトによるものではないことを確認するために、心臓の拍動を抑える別手法も用い、別な特性を持つカルシウム吸光試薬も追加で使用することで、確かにこの光音響イメージングの結果が心臓の電気的活動を反映しているかの確認を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定よりも順調に計測装置の改良と実験が進んだため、計測装置の改良に要するパーツの費用と実験で用いるヒキガエルの数を抑えることができたため。
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