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2023 年度 実施状況報告書

片側に投与されたボツリヌス神経毒素の両側性鎮痛効果の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K11848
研究機関岡山大学

研究代表者

山本 由弥子  岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (20403496)

研究分担者 松香 芳三  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90243477)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワードボツリヌス神経毒素
研究実績の概要

ボツリヌス菌の産生するボツリヌス神経毒素(BoNT、抗原性によりA-G型に分類)は神経筋接合部において開口分泌に関わるSNAREタンパク質を切断することによりアセチルコリンの放出を阻害して弛緩性麻痺を引き起こす。この作用を利用して不随意の筋収縮を伴う運動神経系の疾患の治療に用いられてきた。近年種々の痛みにも有効であることが明らかとなったが、BoNTの鎮痛効果のメカニズムについては未解明な点も多い。また、BoNTの鎮痛効果に関する研究のほとんどすべては、A型の神経毒素(BoNT/A)で行われており、他の血清型のBoNTがBoNT/Aと同様に鎮痛効果を示すか否かは分からない。
我々は、これまでに抗がん薬誘発性神経障害性疼痛モデルラットと眼窩下神経を結紮した三叉神経障害性疼痛モデルを用いて、片側に投与されたBoNT/Aが両側性の鎮痛効果を発揮することを明らかにし、蛍光標識されたBoNT/Aの重鎖C末端側領域(BoNT/A-Hc、神経細胞結合ドメイン)を用いてそのメカニズムの解析を行っている。本課題でB型およびE型ボツリヌス神経毒素(BoNT/B, BoNT/E)の鎮痛効果を解析するために、本年度は蛍光標識BoNT/B-HcおよびBoNT/E-Hcの作製を行った。N-末を特異的に蛍光標識できるように設計されたBoNT/B-HcおよびBoNT/E-HcをGlutathione S-transferase(GST)融合タンパク質としてそれぞれ大腸菌で発現させて、Glutathione Sepharoseでアフィニティー精製した。GSTタグを除去後、BoNT/B-Hc、BoNT/E-HcをAlexa Fluor-488で蛍光標識した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度に予定していた疼痛モデルラットでのBoNT/BおよびBoNT/Eの鎮痛効果、両側性の鎮痛効果の検証は行わなかったが、二年目以降に予定していたBoNTの移行性を解析するためのツールである蛍光標識BoNT/B-Hc、BoNT/E-Hcを作製することが出来た。

今後の研究の推進方策

BoNTの移行性を解析するための蛍光標識BoNT/B-Hc、BoNT/E-Hcを作製することが出来た。しかし、種々の解析を行うには十分な量とは言えないので、大腸菌での組換えタンパク質の発現条件を検討するとともに、スケールアップを行って、解析に十分な蛍光標識BoNT/B-Hc、BoNT/E-Hcを得る。そして、各血清型の蛍光標識BoNT-Hcをラットに投与し、各組織への移行性を比較検討する。また、疼痛モデルラットを用いて、BoNT/BおよびBoNT/Eの鎮痛効果、両側性の鎮痛効果を検証する。

次年度使用額が生じた理由

学内の共同施設利用料が当初予定していた額よりも少なかったこと、初年度に計画していた動物実験を次年度以降に行うことにしたことなどにより、次年度使用額が生じた。タンパク質発現、精製のために必要な試薬や実験動物を購入して、今後の研究を推進する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 口腔顔面痛に対するボツリヌス毒素効果メカニズム2023

    • 著者名/発表者名
      松香芳三,山本由弥子, Swarnalakshmi Raman,生田目大介,岩浅匠真,大倉一夫
    • 雑誌名

      日本口腔顔面痛学会雑誌

      巻: 16 ページ: 21-24

    • DOI

      10.11264/jjop.16.21

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2024-12-25  

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