研究課題/領域番号 |
23K11858
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
濱 進 武蔵野大学, 薬学部, 講師 (60438041)
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研究分担者 |
牧野 宏章 武蔵野大学, 薬学部, 助教 (40784369)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 血中滞留性素子 / 癌微小環境 |
研究実績の概要 |
本研究は、脂質ナノ粒子(LNP)界面における新規ステルス機能素子の局在を精密に制御することで、既存のLNPの課題を克服し、微小環境下の癌細胞へ効率的に核酸を送達可能な新規LNPを開発することが目的である。 2023年度は、合成した低分子親水性化合物 MASH-1および微小環境性ペプチドSAPSpを修飾したナノ粒子を構築した(SAPSp-MASH-1-NPs)。本ナノ粒子の粒子径は約110 nmであり、表面電荷はpH低下に伴い、負から正へ反転したことから、MASH-1を修飾した場合でも、SAPSpの低pH応答性は保持されることが示唆された。また、マウスメラノーマ細胞株B16-F1への取り込みを評価した結果、生理的pHに比べて、低pH下における細胞内取り込みが促進された。一方、既存のステルス機能素子であるポリエチレングリコール(PEG)を修飾した場合では、ナノ粒子は全く細胞内へ取り込まれなかった。これらの結果より、MASH-1は、ナノ粒子表面に修飾されたSAPSpの機能性を阻害しないことが示唆された。実際にMASH-1修飾により、ナノ粒子表面の水和度が増大するのかを検討するために、表面固定水層の厚さ(Fixed aqueous layer thickness:FALT)を測定した。その結果、SAPSp-MASH-1-NPs のFALTは、MASH-1非修飾体に比べて厚いことが示された。FALTが厚い場合、マクロファージへ取り込まれにくくなり、血中滞留性が向上することが知られている。そこで、マクロファージ様細胞RAW264.7への取り込みを評価した結果、PEG修飾体と同様、RAW264.7細胞には取り込まれなかった。以上の結果より、SAPSp-MASH-1-NPsは、高い血中滞留性が期待される癌微小環境応答性薬物キャリアーであると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に一種類の新規血中滞留性素子を修飾したナノ粒子を構築済みであり、また基本的な機能性評価も終了している。さらに、別の親水性低分子化合物も合成済であり、既にナノ粒子が構築可能であることは確認していることから、当初の計画通りに進捗していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
新たに合成した新規血中滞留性素子を修飾したナノ粒子の機能性を評価するとともに、抗癌核酸を内封したナノ粒子を構築し、その抗癌効果を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は、本研究の鍵となる血中滞留性素子を修飾したナノ粒子の構築を優先的に進めていたため、当初計画していた核酸とトコフェロールコハク酸による微小環境制御効果に関して、十分な検討を行っていない。この微小環境制御効果を検討するのに必要な試薬類を購入しなかったため、次年度にこれらの試薬類を購入する予定である。
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