研究課題/領域番号 |
23K11903
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
原 秀剛 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (80381424)
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研究分担者 |
村石 浩 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (00365181)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | X線CT / 脳梗塞 / フォトンカウンティング / 救急医療 |
研究実績の概要 |
わが国における死亡率原因の第4位及び寝たきりになる原因の第1位は脳血管疾患(脳卒中)であり,日本は特に脳出血が多い国として有名である.近年は,食生活の欧米化や生活習慣病の増加に起因する脳梗塞が問題視されている.一方,世界的にもWHOによる発表において死亡率原因の第3位にランクインし,今なお予防管理の重要な疾患である.我々は脳卒中の画像診断支援法の確立をめざし,疾患検出のための画像処理やX線CTによる描出能及び撮影条件評価を目的に人体ファントム開発を継続的に行ってきた. 2023年度においては,急性期脳梗塞模擬ファントムによるフォトンカウンティングCT撮影条件の最適化を主に研究を行った.フォトンカウンティングCTの特徴の1つである仮想単色X線画像の作成において、急性期脳梗塞のような低コントラストを呈する疾患の検出に有効なエネルギー領域の算出のため、60keVから80keVまで10keV間隔および65keVから70keVまで1keV間隔で画像の作成を行った。次に画像解析法として、CNR、FOMおよびdetectability indexを採用した。detectability indexは、新たに導入した方法であり、視覚的評価に近似した物理的評価が可能となる指標である。 結果、仮想単色X線画像において,低コントラストを呈する急性期脳梗塞のコントラストを向上させるエネルギー領域として,65-70KeVが適していることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フォトンカウンティングCT実験が予定通りに実施でき、仮想単色X線画像の作成や種々画像解析法を試験的に適応することができたが、CT撮影パラメータの検討や撮影エネルギー(120kVのみ実施のため、140kVによる画像作成や解析が必要)等の検討が不十分である。 また、対象人体ファントムにおいて、模擬梗塞部の形状が球形状を使用しているため、他ファントムによる実験が必要と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
フォトンカウンティングCTの撮影パラメータとして、140kVを使用した撮影データを用いた仮想単色X線画像の作成と画像解析法として、detectability indexの適応を計画している。 また、撮影対象となる人体ファントムに模擬疾患部(梗塞巣)がリアルな形状のファントムの採用を計画している。時間的な余裕があれば、被ばく線量測定に取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
科研独立基盤形成支援事業において、追加交付を受けたが、その計画において開発予定の画像評価用ファントムの準備・計画が滞り、未発注のため、次年度に作製・支出予定である。 また、学内業務の調整により、出席予定であった国際学会に現地参加できず、オンライン参加となったため、海外旅費支出をしなかった。(次年度に旅費支出予定)
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