研究課題/領域番号 |
23K11909
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
檜作 彰良 立命館大学, 理工学部, 講師 (20822844)
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研究分担者 |
正宗 賢 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (00280933)
楠田 佳緒 東京医療保健大学, 医療保健学部, 助教 (00780131)
中山 良平 立命館大学, 理工学部, 教授 (20402688)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | Low Grade Glioma / 脳MRI画像 / Channel Attention / Spatial Attention / Deep Metric Learning |
研究実績の概要 |
本年度は,Spatial Attention Mechanismに加えChannel Attention Mechanismを追加したMulti-scale 3D Convolutional Neural Networks(MS-3DCNN)により,脳MRI画像(Magnetic Resonance Imaging)画像における低悪性度グリオーマ(LGG:Low Grade Glioma)の分子サブタイプを分類する手法を開発した.実験試料として,東京女子医科大学より提供された217患者のT1強調画像,T2強調画像,FLAIR画像(Astrocytoma IDH-mutant:58,Astrocytoma IDH-wildtype:49, Oligodendroglioma:110)を用いた.本研究では,我々の従来手法であるSpatial Attention Mechanismを用いたMS-3DCNNに対し,Channel Attention Mechanismを導入した新たなネットワークを構築した.Spatial Attention Mechanismは特定領域に重み付けしたAttention Mapを生成するのに対し,Channel Attention Mechanismは特徴マップのチャネル方向のAttentionであり,分類に寄与するチャネルに重み付けする.提案ネットワークはFeature Extractor,Attention Branch,Perception Branch で構成される.Feature Extractor は,脳腫瘍を含む関心領域 から異なる解像度の特徴マップを抽出した.次のAttention Branch では,腫瘍領域と分類に寄与するチャネルに重みを与えたAttention Map を生成した.そして,生成したAttention Map に基づき特徴マップに重み付けした.最後に,重み付けした特徴マップを用いたPerception Branch により,LGG を3 つの分子サブタイプに分類した.提案手法の平均正答率は69.5%(Astrocytoma IDH-mutant:68.9 %,Astrocytoma IDH-wildtype:81.6%, Oligodendroglioma:64.5%)であり,Spatial Attention Mechanismのみを用いた場合の66.4%(51.7%,61.2%,76.4%)よりも高く,提案手法の有用性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,我々の従来手法であるSpatial Attention Mechanismを用いたMS-3DCNNに対して,Channel Attention Mechanismを導入したネットワークを構築した.提案手法を実験試料に適用した結果,提案手法の平均正答率は69.5%(Astrocytoma IDH-mutant:68.9 %,Astrocytoma IDH-wildtype:81.6%, Oligodendroglioma:64.5%)であり,Spatial Attention Mechanismのみを用いた場合の66.4%(51.7%,61.2%,76.4%)よりも高い値が得られた.現状,Perception branchに深層距離学習の一つであるArcFaceを用いている.今後,ArcFaceを改良したSub-center ArcFace,ElasticFaceを用いることで,更なる正答率の向上を目指す.また,少数サンプルで学習可能な手法について,引き続き検討を行う.
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今後の研究の推進方策 |
提案ネットワークのPerception branchにおいて,深層距離学習の一つであるArcFaceを用いている.深層距離学習では,特徴空間において,同一クラスのサンプル間の距離は小さく,異なるクラスのデータ間の距離は離れるようにネットワークを学習させる.ArcFaceでは,入力データの特徴ベクトルと,入力データに対応するクラスの代表ベクトルとのなす角にAngular Margin Penaltyを追加することで,それら2つのベクトル間の距離が更に近づくようにネットワークを学習させる.この手法の問題点として,各クラスに代表ベクトルを1つしか定義しないため,外れ値の影響をうけやすいことが考えられる.そこで,各クラスに複数の代表ベクトルを定義するSub-center ArcFaceをネットワークに導入し,低悪性度グリオーマの分子サブタイプ分類の正答率を評価する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗を考慮して,高性能コンピュータの購入を次年度に変更したため.
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