研究課題/領域番号 |
23K11915
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鎌田 裕基 東北大学, 大学病院, 助教 (00789836)
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研究分担者 |
中村 匡徳 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20448046)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | CVポート / パルスフラッシュ法 / CFD |
研究実績の概要 |
CV(中心静脈)ポートは、中心静脈に留置されたカテーテルと接続される皮下埋込型のデバイスである。使用後のパルスフラッシュによる洗浄にも関わらず、CVポートが閉塞することがあるが、それは化学療法や在宅補液の長期管理上の問題となる。本研究では、CVポートの効率的な洗浄法の探求を目指すとともに、洗浄におけるロバスト性の高いCVポートのデザインの提供に挑む。 令和5年度は、 ①CVポートの洗浄時の流体シミュレーションの境界条件を規定する注入変数の計測を行った:CVポートの洗浄時の注入状況を示す変数は、生理食塩水の注入量や注入速度、その時間変化および穿刺針の位置や深達度、角度である。そこで、令和5年度は、CVポートの薬剤投与に従事する医師や看護師を対象に、洗浄時の様子をビデオ撮影し、実際の注入変数の計測を行った。水彩絵の具により着色した水を満たしたシリンジに、延長チューブおよび専用穿刺針であるヒューバー針を接続した状態とした。パルスフラッシュにより、シリンジ内の水の注入開始から全量注入し終わるまでの操作を240fpsのハイスピードモードで撮影した。得られた動画を画像に変換し、画像解析にてシリンジ内の着色した水の減量を経時的に計測した。注入量の時間変化から注入速度やその時間間隔を定量化した。注入の時間間隔は操作者間および同一操作者でばらつきがあり、注入速度には操作者間で一定であることがわかった。次年度以降も、解析対象とする操作者を増やし、より詳細に注入変数の傾向を検討する予定である。 ②CVポートの流体シミュレーションの流路形状の作成を行った:ポートやヒューバー針の形状モデルを、CADを用いて作成した。商用流体計算ソフトを用いて計算を行い、流路内の流れの可視化や壁面せん断応力の算出を行った。次年度以降は、①の結果を流入境界条件として設定し、CVポート内の流れの状況を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CVポート内の流体シミュレーションに必要な境界条件の解析法を確立することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
・CVポートの使用に従事する医療者を対象とした画像解析例を増やし、注入の傾向を検討する。 ・得られた注入変数をもとに、流体シミュレーションを行い、注入変数によるCVポートのチャンバー内の液体が入れ替わる時間や程度について検討する。 ・チャンバー内の洗浄の経過を観察可能な実験系を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
画像解析や血流シミュレーションは、すでに所有している計算機を用いた。次年度以降に、負荷の高い血流シミュレーションを行う場合に、計算機の追加を予定する。
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