研究実績の概要 |
医薬品承認時における代替評価項目(サロゲートエンドポイント;SEP)を用いた臨床試験の実施および薬事承認での利用に関して、米国では積極的に検討がなされ、薬事申請の際に利用できるSEPのガイダンスや一覧表が存在しているが、日本では、SEP利用に関する一定のルールやガイダンスは存在しない。本研究の初年度では、FDAが定めたSEPの一覧表を用いて、日本におけるSEPの使用状況をまず調査した。方法としては日本におけるSEPの使用状況をFDAが定めたSEPの一覧表を用いて調査した。調査対象は、日本で1999年から2022年までに承認された医薬品とした。まず、対象医薬品のうち、FDAでSEPが定められた疾患に対して適応を持つ医薬品を抽出した。続いて、抽出された医薬品が承認時の臨床試験で使用していたエンドポイント(EP)を調査した。その後、使用していたEPをFDAが定めたSEPと照合した。その結果、1999年から2022年までに本邦で承認された医薬品は2,307剤であった。2,307剤の医薬品のうち、FDAがSEPを定めた疾患に対して適応を持つ医薬品は1,012剤であった。1,012剤の医薬品に対して、臨床試験で使用したEPを調査したところ、FDAで定められたSEPと同一のSEPを使用した医薬品は947剤(93.6%)であり、FDAと異なるSEPを使用している医薬品は65剤(6.4%)であった。また糖尿病領域等においてはFDAと同じSEPを使用する傾向が有意であり(P<.001 , χ2検定)、病原生物に対する医薬品においてはFDAと異なるSEPを使用するものが有意に多かった(P<.001 , χ2検定)。 なお本結果は2024年3月に開催された日本臨床試験学会第15回学術集会総会にて発表を行い、優秀演題賞を受賞した。
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