研究課題/領域番号 |
23K11968
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
堀内 裕子 目白大学, 看護学部, 助教 (80789008)
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研究分担者 |
小川 充洋 帝京大学, 理工学部, 教授 (30322085)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 気管吸引 / トレーニング / 吸引シミュレーター / カテーテル位置計測 |
研究実績の概要 |
本研究では、気管吸引の技術について、独自に気道を作成しカテーテルの先端の撮影を可能にすることで、安全な効果的な気管吸引を明らかにすることを目的とする。計画初年度においては、課題2:吸引カテーテル操作の動画を撮影し動画撮影による記録の妥当性を検討する、課題3:吸引の経験者と非経験者の吸引操作を計測実験し効果的な技術の検証を行う、の2課題について研究を進めた。結果、課題2については、既存の気管吸引シミュレーターを使用し、気管に対して2方向からカメラを設置し2台同時に撮影できるように設定した。撮影したデータ2方向から気管内を吸引カテーテルが挿入され抜去される動きを捉えることができた。あくまでも気管に対して上から(胸部側)からみた動きと気管に対して側面からの2方向から撮影したデータであり、気管を咽頭側あるいは腹部側からの方向のデータは得られていない。他の方向からの撮影もカテーテルの先端の動きを観察するうえで、今後検討が必要であると考えられた。課題3については吸引の経験者と非経験者が実験に参加し、経験により吸引カテーテル操作の何に差があるのか比較した。結果、吸引経験のある看護師は、ほとんどが10秒以内に行っていたが、非経験者のほとんどはカテーテルの挿入だけで10秒以上の時間がかかっていた。吸引の時間のとくにカテーテルの挿入に時間の差が認められた。この差は、カテーテルの挿入に練習が必要であると考えられ、ガイドラインの15秒以内で行うという視点からも重要な結果であった。吸引シミュレータ―の気管部分そのものの影響があるのかも検討する必要があると考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やや遅れている。2方向からカテーテル先端の動きを捉えるシステムを設定することができた。また参加者の吸引操作を撮影し、気管吸引を経験したことのある看護師と全く経験がない者を比較できた。撮影のシステムは構築したが、CT等の画像データから気管部分を3Dで作成し、シミュレーターを改造するには3Dプリントするためのデータ作成と本研究で撮影可能な素材を検討することが必要である。本研究に見合った3Dプリントにするためには、3Dデータの見直しとプリントを繰り返して素材の確認が必要になる。2023年度は、3Dプリントはできなかったものの、撮影するための準備は整っている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度においては、課題1:3Dプリンターを用いてカテーテルの先端が撮影できる透明素材で気道を作成する、について進める。フリーで入手可能なCT画像を用いて、3Dプリンターによる気管の作成を行い、課題2、課題3で得られた撮影方法を用いて計測実験から吸引カテーテルの先端の動きに関するデータを得ることを目的とする。また、吸引のデータから効果的な吸引操作について引き続き検討を行う。とくに吸引カテーテルの挿入操作に関しては、既存のシミュレータ―と3Dプリンターで作成した気管に相違があるかも検討する。3Dで作成した気管を使用するにあたっては、カメラの設置やパソコン画面への実験の環境についても安定した実験を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費については、当初予定であった3Dプリンターによる気管部分の作成が、3DプリントするためのCT画像データの検討によりstlデータの作成困難であった。既存の吸引シミュレーターを用いて研究を進めたため、3Dプリンター用のstlデータ作成と、気管部分の3Dプリントするための消耗品の予算執行を次年度に行うこととし、今年度は執行しなかった。また、人件費・謝金についても、3Dプリントした気管を用いた実験を行わなかったため、次年度繰越し人件費・謝金を次年度に執行するものとした。次年度において、3Dプリントした気管部分を用いた吸引操作を行えるように、3Dプリント用のデータ作成と3Dプリントを行い、当該システムを用いて計測実験を進める予定である。
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