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2023 年度 実施状況報告書

ラテンアメリカを跨ぐ女性作家たち-移動・言語・ジェンダーからの考察

研究課題

研究課題/領域番号 23K12135
研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

洲崎 圭子  お茶の水女子大学, グローバルリーダーシップ研究所, 研究協力員 (40869294)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワード女性作家 / ジェンダー / 移動 / 言語
研究実績の概要

今年度は、文献資料収集のためにメキシコシティを訪れた。メキシコ大学院大学にかつて客員研究員として籍を置いていたこともあり、当時の指導教官らを訪ねて依頼したところ、同大学附属図書館への入館証を発行してもらえたことから、電子データをはじめとした膨大な資料をダウンロード/コピーすることができたことは大きな成果であった。その他、留学時代から所属していたフェミニズム文学批評研究会の会員に連絡を取り、定例会は出席できなかったものの、現地の研究者らと懇談の機会をもつことができた。最新のラテンアメリカにおける文学状況や批評動向などについて意見聴取を行い、多くの情報を得ることができたことは、対面ならではの成果であったと考える。メキシコにおいては、ラテンアメリカ全域にわたるフェミニズム批評/ジェンダー論の文献や新刊図書がまとめて入手可能であることを改めて確認した。
アルゼンチン生まれの作家シルビア・モロイについては、ジェンダー史学会で口頭発表を行った。作家が、フランスで学位取得後、米国に居を定めることとなった理由としては、1970年代後半からはじまった軍政の影響をみることは困難なことではないが、同時に、米国において第二波フェミニズムの大きなうねりを目の当たりにしたことも要因の一つではないかと結論づけることとなった。所属先の研究会チーム主催の公開研究会においてモロイをはじめとしたラテンアメリカの女性作家に関し、20世紀後半から現在に至るまでの活動状況について、口頭発表を行った。2020年代になって以降、ブッカー国際賞、全米図書賞翻訳部門など、全世界的傾向を得て多方面でラテンアメリカの女性作家たちが多く読まれ、ノミネートされる状況があることが確認できた。ラテンアメリカ地域専攻や文学以外の分野からの研究者らと新しい視点からの意見交換ができたことで、別の視点が拓かれることとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該研究計画の初年度として、海外に出向いて資料収集が可能となったことから、予想していなかった多くの文献を入手することができた。メキシコにおいては、資料収集とともに関係各所において情報収集を行うことも可能となったことから、例えばチリの異性装男性作家Pedro Lemeberが、パフォーマーとしての活動のみならず、2001年に小説Tengo miedo toreroを上梓していたことが判明したため、急きょ考察対象とすることとした。また、アルゼンチンのCamila Soza Villadaは、トランスジェンダーとしての半生をエッセイにつづっていることがわかり、それらをまとめて入手することができるなど、予定していた以外の成果を得られていることから、進捗状況として「おおむね順調」とした。さらに、この研究で研究対象としているシルビア・モロイについては、口頭発表以外にも、『ジェンダー事典』において「ラテンアメリカ文学」の項を執筆する成果につながった。

今後の研究の推進方策

アルゼンチンのみならず、メキシコにおいても同性愛をテーマにした作品が1980年代後半に出版されていることから、最近になってそれら作品の再評価が積極的にされるようになっている状況に鑑み、作家が母国を追われて亡命した事情などと併せ、比較考察していくこととする。
1)文献の分析:メキシコにおいて収集し得た文献資料の他、現地で得た情報をもとに、新たに浮上した作家らの作品を精読する。シルビア・モロイは、小説家であると同時に、ラテンアメリカ文学・ジェンダー論の研究者でもあったことから、同地域の小説における自伝的要素について考察した当該分野では貴重ともされる論文集等を読み込み、関連する作品等も併せて収集・分析する。また、第一小説『束の間、囚われて』は同性愛の女性が主人公であったが、二作目の長編小説『ありふれた忘却』 は同性愛の男性を主人公に据えているため、これらを比較しつつ精読を行う。
2)研究成果の発表:精読を行った結果については、できる限り早い段階で、口頭発表の機会を持つことを予定している。

次年度使用額が生じた理由

ラテンアメリカ地域では、同性愛をテーマにした作品が1980年代に出版されているが、最近になってそれら作品の再評価が積極的にされるようになっている状況に鑑み、作家が母国を追われて亡命した事情などと併せ、比較考察していくこととする。
1)文献の分析:メキシコにおいて収集し得た文献資料の他、現地で得た情報をもとに、新たに浮上した作家らの作品を精読する。シルビア・モロイは、小説家であると同時に、ラテンアメリカ文学・ジェンダー論の研究者でもあったことから、同地域の小説における自伝的要素について考察した当該分野では貴重ともされる論文集等を読み込み、関連する作品等も併せて収集・分析する。また、第一小説『束の間、囚われて』は同性愛の女性が主人公であったが、二作目の長編小説『ありふれた忘却』 は同性愛の男性を主人公に据えているため、これらを比較しつつ精読を行う。
2)研究成果の発表:精読を行った結果については、できる限り早い段階で、口頭発表の機会を持つことを予定している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 今、光彩を放つラテンアメリカの女性作家たち2023

    • 著者名/発表者名
      洲崎圭子
    • 学会等名
      中央大学人文科学研究所「ジェンダー/セクシュアリティと表象文化」研究チーム公開研究会
  • [学会発表] 言語の間隙でクィアを実践すること―シルビア・モロイと南北アメリカ社会2023

    • 著者名/発表者名
      洲崎圭子
    • 学会等名
      ジェンダー史学会 第20回 年次大会
  • [図書] 『ジェンダー事典』2024

    • 著者名/発表者名
      ジェンダー事典編集委員会 編/洲崎圭子(分担執筆)
    • 総ページ数
      800
    • 出版者
      丸善
    • ISBN
      9784621308875

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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