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2023 年度 実施状況報告書

近代日本語における名詞の接続形式化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K12189
研究機関富山大学

研究代表者

川島 拓馬  富山大学, 学術研究部人文科学系, 講師 (50879666)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード日本語史 / 近代語 / 文法史 / 接続形式
研究実績の概要

日本語の接続形式を主たる研究対象として、①大正~昭和初期の演説における接続表現の使用状況、②古代語(主に平安・鎌倉時代)における「限り」の用法記述、について研究を進めた。
①近代における公的表現性を持つ資料として重要な演説を取り上げ、接続表現の分析を行った。まずは演説資料から接続表現を網羅的に収集し、その使用状況についての概要を示した。考察にあたっては同時期の雑誌と比較することにより、文章ジャンルとしての演説において特徴的な接続表現を示すことができた。結果として、雑誌においては文語文での使用が目立つ表現の方が演説において頻りに用いられることを指摘し、文体として口語文である演説の言語的に「堅い」側面について明らかにした。
②既に考察を行っている現代語の「限り」についての研究成果を踏まえ、その古代語における用法について分析した。まず「限り」の前接要素・後接要素の観点からその様相を記述し、現代語との比較によって古代語の「限り」の特徴を示した。具体的には、「限り」の否定形が前接する例が少なく、「名詞+の」に続く例は多く見られることを述べ、また後接要素については副詞節として捉えられる例と名詞節と捉えられる例の構造的な曖昧さを指摘した。次いで用法の観点から考察を行い、「~ない限り」のような仮定条件を表す例は現代語と異なり稀であること、程度修飾・数量修飾を表す例が中心的と考えられることを述べた。また「限り」の持つ「範囲」の意から各用法が派生する関係性についても考察を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

①が当初の計画にはなかった研究テーマであるが、結果的に当初掲げていたテーマに取り組むこと、また②の研究を論文として刊行することができなかった。しかし、①の背景には日本語における接続表現の歴史を考える上で重要な問題意識があり、研究を深化させる上では意義があると考える。よって、研究の射程を一部変更する形で課題に取り組むこととなり、結果的に遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

上記①と②のそれぞれについて、研究を進め成果を公表したいと考えている。演説の接続表現については、通時的な変遷については分析することができなかったため、この点について追加で調査を行い、多角的な考察を可能とすることを目指す。「限り」についてはまず古代語の様相についてまとめ、成果の刊行を行う予定である。次いで近代語の様相についても調査によって記述し、ある程度の整理を行いたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

旅費として計上した分について、研究会のオンライン開催により支出が不要になったため。残余分に関しては、次年度の物品費に充てる計画である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 大正~昭和前期の演説における接続表現の使用状況―雑誌と比較して―2024

    • 著者名/発表者名
      川島拓馬
    • 雑誌名

      富山大学人文科学研究

      巻: 80 ページ: 43-63

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 大正~昭和前期の演説における接続詞の使用状況2023

    • 著者名/発表者名
      川島拓馬
    • 学会等名
      近代語学会2023年度第1回研究発表会
  • [学会発表] 古代語の「限り」をどう整理するか2023

    • 著者名/発表者名
      川島拓馬
    • 学会等名
      第14回 富山日本語史研究会

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公開日: 2024-12-25  

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