研究課題/領域番号 |
23K12195
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研究機関 | 作新学院大学 |
研究代表者 |
太田 有紀 作新学院大学, 人間文化学部, 准教授 (60927747)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 会話分析 / 地域的相違 / 大坂 / 東京 / 仙台 |
研究実績の概要 |
当該年度は実施計画に基づき、研究用のデータを収集すべく知人、友人をはじめ、公的機関へ協力依頼およびデータの収録を行った。詳細は以下に示す。 若年層のデータ収集にあたっては、東北大学、宮城学院女子大学、宮城教育大学、山形大学、近畿大学、京都外国語大学、佛教大学の先生方、および自身の知人等に依頼状を送り、調査方法等詳細についての打合せを行った。また、高年層のデータにおいては、各地域のシルバーセンター(仙台市、大阪市(本部、西区)東京都シルバー人材センター連合、中央区)への依頼をし、協力者を募った。 現在までに収録できたデータの数は次のとおりである。東京で若年層男性4本、高年層男性1本、仙台では高年層男性1本、女性2本(内1本は出身地が仙台市外のため使用不可)、若年層男性1本を収録した。なお、大阪については昨年度は依頼及び調査に関する打合せのみ実施。データの収録に関しては2024年の8月上旬(および9月上旬)に予定している。 また、収録したデータの文字化作業をデータ収集と並行して行う予定であったが現時点で文字化できているものは1本であり、文字化の作業に遅れが生じている。文字化作業に際しては学生等を雇用する予定でいるが、現時点では適切な人材が見つかっていないため、適切な人材が見つかり次第雇用する方向で考えている。 さらに、分析視座に関するパイロット調査を実施する予定であったが、パイロット調査ができていない。この点については、これまでの研究および調査者のデータの観察から得られた視点をもとにし、「先取り発話」と「自虐の用い方(いじり方)」「聞き手と話し手の役割分担の仕方」などに着目し分析を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の進捗は当初の予定よりもやや遅れていると思われる。その理由として以下の2点があげられる。 (1)データの収集についての遅れ:データについては協力者が見つからなければ集めることができない。昨年度は、研究データの依頼を行うことが中心となってしまい、思うようにデータを収録できていない状況が続いている。現在は、シルバー人材センター等協力を得られそうなところには協力を要請しているが、研究対象の条件をがあるためデータを集めることが容易ではない。対象者の条件の変更は本研究の基盤となる部分であるため変更することが難しいが、依頼先を増やすなどして今年度中には目標とするデータ数を集めたいと考えている。 (2)音声データの文字化作業の遅れ:昨年度末からアルバイトなど文字化作業を行う人員を増やす計画を立てていたが、募集をかけても集まらなかったため、現時点では研究者自身が一人で文字化作業を行っている。研究の計画当初は数人での文字化作業を想定していたこともあり、遅れていると言わざるを得ない。適切な人材が見つかり次第雇用することにしている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究の推進方策は(1)データ収集の継続(2)文字化作業のペースの加速(3)データの分析の3つを中心とする。以下、それぞれの項目について述べる。 (1)データ収集:各シルバーセンターや大学関係者および知人に依頼を継続しており、協力者が見つかり次第収録を行う。大阪の高年層のデータについては8月初旬に収録を予定している。また、東京のシルバー人材センターからは既に数人の協力者が見つかったとの報告があり、7月~9月の間に最低限目標とするデータ数を収録したいと考えている。現時点で、収録が難しいと思われるのは大阪と仙台の若年層のデータであり、これまで依頼したところ以外でも協力先があるか模索中である。今年度中に目標とするデータ数に達するよう努めたい。 (2)文字化作業:アルバイト等作業に係る人員を雇う方向で検討しているものの、人材が見つからず現在は文字化作業に遅れが生じている。長期休暇(夏休み)に作業できる学生などを見つけ仕事を依頼する予定でいるが、それまでは1人で文字化作業を続けていくことになる。夏休み終了までには昨年度収録したデータ全てを文字化したいと考えている。 (3)分析の開始:既に文字化したデータをもとに分析を進めることとする。現在考えている分析視座は「先取り発話」と「自虐の用い方(いじり方)」「聞き手と話し手の役割分担の仕方」の3つであるが、今後データを比較しながらどこに違いがあるのかさらに検討していくことにする。 なお、来年度刊行予定の公刊図書への投稿も決まっていることから、今年度は論文の執筆も上記の作業と並行して行うことにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたデータ数を収録できなかったことが最も大きい要因であると考えられる。また、データの協力依頼の際、説明を兼ねて挨拶に行く計画もしていたが、都合がつかずメールでの依頼のみで挨拶を済ませたところもあったため、当初の予定よりも使用額が少なくなったと考えられる。加えて、文字化作業の人員の確保ができなかったことも挙げられよう。また、予定していたICレコーダーの購入も、よりよい機材を選定するために時間を要しており購入までには至っていない。 今年度は、昨年度に引き続きデータの収集を行うことから、旅費や謝礼等での出費が昨年度よりも多くなることが推測される。また、機材の購入や文字化作業の人員(適した人材が確保できれば)の確保に費用がかかると考えられる。
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