研究課題/領域番号 |
23K12267
|
研究機関 | 京都外国語大学 |
研究代表者 |
モッタ フェリッペ 京都外国語大学, 外国語学部, 講師 (30867198)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
キーワード | 日系ブラジル移民 / エスニック・メディア / 住居 / 写真集 / 表象 / 伯剌西爾時報 |
研究実績の概要 |
2023年度は主に日系ブラジル社会のエスニック・メディア、とりわけ日本語新聞の熟読に専念した。その中、大日本帝国総領事館の「御用達新聞」として知られる『伯剌西爾時報』を中心的に読んだ。『伯剌西爾時報』は領事館に近いその立ち位置により「官」の側面が突出しており、「教育される存在」としての移民を考えるのに貴重な資料である。なお、その媒体に現れる思想はブラジルあるいは南米ならではの特異性を含意しつつ大日本帝国の勢力圏・非勢力圏に流通していた言説も確認できるので、それに注意を払って作業を進めた。 引き続き、移民と住居の問題にも注目した。住まいは私的生活の拠点であり、家庭が営まれる空間である。また、衣食住の中でも特に渡航前後に移民が意識していた領域である。2023年度は日系ブラジル移民史における住居の問題をとりあげ、エスニック・メディアにおいてその問題がいかに語られていたかを分析した。また、移民文学、移民をめぐる展示、そして写真集において移民の家がいかに表象されたかを取り上げた。 この課題の初年度にあたる当該年度では資料の入手、または通読に多くの時間を割いた。加えて、移民と写真の問題を論じるにあたり写真論をめぐる文献を多いに読んだ。 予定していたブラジルでの現地調査を実施することは出来なかったが、国内調査は数回にわたり実施し、多くの資料を参照することが出来た。 最後だが、2023年度はサンパウロ大学、サンパウロ人文科学研究所、そして日本国内外の研究者とミーティング(対面/オンライン)を実施し、意見交換を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度において予定していた作業は概ね実施できた。資料を多く入手し、その通読に時間を割いた。また、エスニック・メディア、とりわけ日本語新聞の熟読を進めた。 なお、この分野において新しく発表された研究成果が予想外に多かったので、それを参照し、必要に応じて軌道修正することがあったので、それに時間を費やしたことがある。また、初年度に予定していた第一回ブラジル現地調査が実施できなかったことが「やや遅れている」の判断に直結する。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は予定通りに遂行するつもりである。 なお、課題を申請した時に「移民と写真」の問題をめぐる分析を予定していなかったが、言説が視覚的に流布される媒体としての写真を意識する重要性が浮上したので、写真、とりわけ写真集を分析対象に加えることにした。それによりプロジェクトのスコープが拡がるだろう。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は予定していた第一回ブラジル現地調査を実施しなかったことである。なお、2024年度に繰り越しとなった金額は予定通りに調査および資料入手に充てたい。
|