研究課題/領域番号 |
23K12310
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
木村 理 岡山大学, 文明動態学研究所, 助教 (10881485)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 埴輪 / 吉備地域 / 生産流通 / 古墳時代後期 |
研究実績の概要 |
研究初年度である2023年度は、吉備地域における5世紀末以降の埴輪の網羅的な集成作業と、高梁川右岸における古墳出土埴輪の分析を実施した。 前者は本研究の実施に際し基礎データとなるものであり、各機関の発掘調査報告書や紀要に掲載されている資料に加えて、未報告の資料についても、所蔵機関にて資料調査を実施して資料収集に努めた。次年度以降は、この資料集成を通じてさらなる資料調査を行い、時期ごと地域ごとの埴輪編年、生産体制の復元的検討を遂行していく予定である。 後者では、倉敷市・天狗山古墳を中心として資料の全点調査を実施した。豊富かつ良好な資料が出土した当古墳に対しては、未報告資料を含む15点程度をSfM/MVSに基づいた三次元計測を実施し、資料化を図った。加えて、円筒埴輪の製作技法や製作工程の検討、同工品分析、ハケメパターン同定をはじめとするあらゆる分析を実施し、高梁川右岸域における埴輪の波及プロセスや、生産組織の編成方法などについて明らかにした。この成果については、2024年4月刊行予定の『古代吉備』第35集にて公表した。本分析を通じて、同一エリアに所在する後出の首長墳の埴輪生産との連続/非連続性や、地域内外との関係性の経時的変遷についても見通しを得ることができた。 そのほか、天狗山古墳の埴輪製作技法、生産組織の編成方法を相対化するために、王権中枢部の古市・百舌鳥古墳群の資料についても資料調査を実施し、両地域において集団編成のあり方がやや異なることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、本年度は吉備地域における5世紀末以降の資料集成、および高梁川右岸域の古墳出土埴輪の分析を実施することができた。また、後者については既に成果を公表できる段階へ達している。次年度以降も研究計画に基づいて、流域単位での分析、流域間での製品や工人の移動実態について検討していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度以降は、津山盆地・砂川流域・吉井川流域の各エリアにおける埴輪生産流通動向について検討を実施する予定である。一方で、2023年度の分析を経て、吉備地域の埴輪が王権中枢部とはやや異なる時間的推移を見せることがわかってきた。したがって、生産分析に先立って、まずは編年の構築を通じて時間軸を整備することが急務となった。2024年度は各エリアを対象とした資料調査を実施しつつ、吉備地域あるいはその中での各エリアにおける埴輪編年の構築作業に取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究では、悉皆的な資料集成および高梁川西岸で出土した資料の考古学的分析を実施したが、これに加えて当初は後者のCTスキャン分析を行う予定であった。一方で、CTスキャン分析を実施する資料の抽出と図化作業が間に合わず、当分析を次年度に送らざるをえなくなった。したがって、CTスキャン分析費について、残額が生じた。
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