研究課題/領域番号 |
23K12311
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
米元 史織 九州大学, 総合研究博物館, 助教 (40757605)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 筋骨格ストレスマーカー / MSMs / 江戸時代 / ストレスマーカー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、古人骨の形態、特に筋付着部の発達度分析を用い、階層社会における社会的格差の拡大が人間の身体活動の多様性に与えた影響を検討し、モデル化することである。筋付着部の発達度分析とは、骨に付着していた各筋がどの程度発達していたかを検討し、発達していた部位とそうでない部位を明らかにし、体の動かし方を推察することで、生前行っていた身体活動を復元する方法である。主な対象は江戸時代人骨であり、江戸時代の階級社会で格式や格差がどのように身体化されていたのか、ひいては階級社会の実態に迫ることを目的とする。検討する項目は大きく4項目、「武士階層の身体活動の特殊化が他地域にも一般化できるか否か」、「活動の特殊化した専業集団や町人が構成する都市と地方における身体活動の多様性の差」、「女性における身体活動と階層の関連」、「階層社会における性別役割分業」である。 本研究は、古人骨という活動主体である人を研究対象とするがゆえに、身分制の中で人々が性別や職業によってどのように区分されてきたのかを問うことが可能になる。近世の遺跡の発掘があまり盛んではない諸外国では行うことのできない学術的独自性を有するものである。また、本研究成果をモデル化することで、日本列島における階層社会の形成さらには東アジア諸国における国家形成の時代の研究を行う際の参照枠とすることも可能と考える。 まず本年度は福岡を中心とした地方都市とその周辺部の調査を行った。これらの資料はすべて九州大学比較社会文化研究院に所蔵されており、都市と地方の差および男女間の差がどのように表れるのかを検討するための基礎的な資料である。男女差については地方非都市部については一定の傾向が得られており、これらについて今後まとめていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
江戸時代の農民層の人骨の調査を行うことができ、男女間の差について一定の示唆が得られたため。また、CTを用いてストレスマーカーの一種であるハリス線の検討も行うことができたことからおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、引き続き福岡県内遺跡出土人骨の調査を行い、男女差について得た結果をまとめていく予定である。MSMsだけでなく、ハリス線などのストレスマーカーの検討も引き続き行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新潟医療福祉大学への出張を予定していたが、能登半島地震と関連して調査を延期したため。
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