研究課題/領域番号 |
23K12336
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
崎田 誠志郎 久留米大学, 文学部, 講師 (10823411)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
キーワード | 小規模漁業 / 規範 / 集合行為 / ローカル・ガバナンス / ギリシャ |
研究実績の概要 |
本研究では、小規模漁業(small-scale fisheries)における地域の自主的ガバナンスが重視される中で、従来非協調的・個人主義的とされてきたギリシャの沿岸漁場利用における漁業者集団の社会関係を検討する。そのために、島嶼域やラグーンなど、複数の地域における漁業者集団に着目し、漁場利用にかかわるローカルな規範と集合行為の性質、および生成・維持・変容・喪失のプロセスを、事例調査にもとづいて明らかにすることを目指す。 初年度である本年度は、本プロジェクト以前に実施していた研究成果を整理するとともに、今後の研究基盤となる調査地・研究ネットワークの開拓に取り組んだ。具体的には、新規の調査地域として検討しているキクラデス諸島のナクソス島を2023年10月に訪れ、現地の漁業実態や生活環境などについて予察調査を実施した。調査前後では、ギリシャ島嶼域の生業変化について研究している現地研究者とアテネで面会し、研究構想や調査手法等についての議論を経て、研究協力体制を構築した。また、既存の調査地であるメソロンギを訪れ、コロナ禍前後での地域漁業の変化についての聞取り調査や、統計・行政資料の収集をおこなった。以上の活動により、新規調査地の開拓と、既存調査地の現状についての把握を進めることができた。 本プロジェクト以前に得ていた成果と本年度の追加調査の結果をあわせて、メソロンギ=エトリコラグーンにおける漁場の権利と漁業者組織の社会的基盤に関する内容を国内学会で発表した。あわせて、同内容を論文としてまとめ、国内英文誌に投稿した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2024年2月に実施予定であった現地調査をスケジュールの都合上取りやめざるを得ず、調査計画の一部を翌年度に延期した。
|
今後の研究の推進方策 |
年度の前半から現地調査を開始し、新規調査地の確定と本調査への移行を図る。あわせて、既存調査地における追加調査を進める。ただし、円安・インフレによって、調査費や調査協力者への謝金の見積もりが当初の予定よりもかなり高騰している。予算の計画的執行と、必要に応じた調査計画のスリム化を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2024年2月に実施予定であった現地調査を延期したため。2024年度6月にあらためて調査を実施する。
|