研究課題/領域番号 |
23K12455
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
若松 直幸 中央大学, 経済学部, 助教 (50847340)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | D. リカード / 動学分析 / 課税 / J. S. ミル |
研究実績の概要 |
本研究は、リカード派の課税論における長期的効果について分析するものであり、2023年度は本研究の第一年度であったが、そこではまずデイヴィッド・リカード自身についての税の長期的効果についての研究を行った。これに関して、研究代表者は、リカード課税論に対する従来の比較静学的な研究とは異なり、そこに動学分析を見出せるという考えのもと、カサローサのリカード・モデルに基づいて税の動学分析を行った。当該成果は、2023年6月に'Ricardo and the Origin of Dynamic Tax Analysis'というタイトルでヨーロッパを代表する経済学史の国際会議の場で報告され (The 26 th Annual Conference of the European Society for the History of Economic Thought、リエージュ大学、ベルギー)、当該研究はその後、海外の学術雑誌に投稿中である。他方で、その後、リカードとJ. S. ミルの課税論の関係をめぐる研究を開始し、その成果を2023年9月に'Theoretical Succession from Ricardo to J. S. Mill: The Arguments of Taxes on Wages ' (International Conference on Economic Theory and Policy、明治大学)、'The Growth Paths of Wages in Ricardo and J. S. Mill: The Arguments of Tax Theories' (International Workshop on Classical Political Economy 2024、立教大学)というタイトルで国内の国際会議の場で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点では、リカード課税論に関する研究、リカードと19世紀の経済学者たちとの課税論の関係について、概ね順調に研究を進められており、研究成果も徐々に出すことができている。引き続き、予定されていた研究を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題については、今後以下のように進めていくことを予定している。 第一に、リカードとJ.S.ミルの課税論に関する研究について、2024年5月にThe 27th Annual Conference of the European Society for the History of Economic Thought (ESHET)で報告が予定されている。そこでの報告を終えたのち、論文の修正を行い、当該研究を海外の学術誌に投稿する。 第二に、リカード課税論ナッソー・ウィリアム・シーニアの課税論とを比較する研究を行い、研究報告、論文化を行っていく。こちらについては、2025年度以降の論文化を目指して研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として、次のことを挙げることができる。2023年6月に本研究内容と関連する海外出張を行ったが、所有する他の研究資金との関係から、当該出張での旅費を本研究費から支出できなかったことが一番の理由である。 これにより、2023年度は研究に必要な書籍の購入や英文校正費等にしか助成金を使用できなかったため、次年度使用額が生じてしまった。 2024年度の助成金の使用計画としては、主に国際学会への参加を中心に考えている。2024年5月にヨーロッパ経済学史学会(ESHET)での報告を予定しており、 助成金の大部分が、当該出張とその後の国際誌への投稿関係(英文校正等)に充てられることが予定されている。他方で、2024年度に新たな研究にも着手するので、当該研究遂行に必要な書籍等の購入も行う。
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