研究課題/領域番号 |
23K12475
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
津布久 将史 専修大学, 経済学部, 准教授 (20802333)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 輸送費用 / 地域貿易協定 / 複数国間協定 / 協定締結ゲーム |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、国家間の輸送費用が多国間の貿易自由化を目指す貿易交渉の結果に及ぼす影響を解明することである。特に、現代における貿易交渉において主流となっている複数国間協定(PA)と地域貿易協定(RTA)の締結に対して国家間の輸送費用がどのように影響するのかを明らかにしたうえで、どちらの協定が多国間での自由貿易体制を実現するのに望ましいのかについて理論的な知見を提供することを目的としている。 この目的のもと本年度は、3国から構成される基本モデルの構築および協定締結ゲームに基づく分析を行った。基本モデルにおいては、PAとFTAのそれぞれが締結された場合に協定締結国が協定に参加しなかった国(非締結国)に対して設定する関税についての結論が得られるとともに、協定の締結が締結国だけでなく非締結国の経済厚生にどのような影響を与えるのかを明らかにすることができた。 この基本モデルに、実際に各国の政府が協定の締結を選択するような協定締結ゲームを応用し、輸送費用の水準に応じてどのような状況が成立するのかについての分析を行った。分析は簡単化のためにどの国家間でも共通の輸送費用が発生する対称的なケースと、3国のうち2国の国家間では輸送費用が発生せず、その他の国家間では共通の輸送費用が発生する非対称的なケースを取り上げて分析を行った。分析の結果、貿易される財の性質に依存した結果ではあるものの、対称的なケースであればPAの方が多国間での自由化を実現するのが容易だが、非対称なケースではRTAの方が自由化が容易であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に明らかにできた結果は、すでにワーキングペーパーとしてまとめて公開済であり、研究計画の初年度に想定していた内容は完了できたと考えられる。だだし、このペーパーの内容を外部の研究会や学会で報告する機会を十分に取れていないため、次年度にはこの点を遂行するように努める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に計画していた分析については十分に遂行できたため、今後はさらに進んだ分析を行うとともに、すでに得られた分析結果を外部で報告することで多くの研究者からコメントを受ける予定である。 分析については、厚生分析を執筆したワーキングペーパーの内容に加えることで学術論文としての価値を高めることができると考えられる。そのため、この分析を遂行し早い段階で学術雑誌に投稿する予定である。 これと同時並行で研究報告を行い、得られたコメントをフィードバックすることで論文を改善していくとともに、今後の研究計画を必要に応じて見直していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究課題に関する情報収集および、今年度に得られた成果を発表するために学会や研究会に参加する予定であったが、成果をワーキングペーパーにまとめることを優先したため、旅費への利用がなくなったため。 この旅費は次年度に利用する予定である。
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