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2023 年度 実施状況報告書

加法過程に関連した確率過程とファイナンスの数理

研究課題

研究課題/領域番号 23K12507
研究機関立命館大学

研究代表者

鈴木 良一  立命館大学, 理工学部, 助教 (60796374)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード加法過程 / Levy過程 / 主成分分析 / Malliavin解析 / 数理ファイナンス / Malliavin-Mancino法
研究実績の概要

まず、立命館大学の中川卓也氏との共同研究により、加法過程のサブクラスである、Brown運動と純飛躍型Levy過程から駆動されるOrnstein-Uhlenbeck型の確率微分方程式 (SDE)を含むSDEのクラスに属するSDEの基本解の累積最大値に関する確率密度関数の存在を示す研究結果が得られた。その結果は論文としてまとめられ、国際誌Modern Stochasticsに受理された。
立命館大学の半田真大氏とは、Levy過程から駆動されるSDEによって危険資産価格過程が記述される金融市場モデルにおける、コールスプレッドとデジタルオプションに対する局所的リスク最小化ヘッジ戦略の、Malliavin解析を用いた明示的な表現公式とCarr-Madan法での数値解析結果が得られており、論文にまとめている。また、半田氏とは名古屋市立大学の佐久間紀佳氏との共同研究も行っており、純飛躍型の加法過程に対する、Girsanov変換下でのClark-Ocone公式とファイナンスへの応用に関する結果が得られている。また、イタリア・フィレンツェ大学のMaria Elvira Mancino氏らも加えた共同研究では、Levy過程や加法過程に対するMalliavin-Mancino-Taylor型公式と関連公式が得られており、ファイナンスへの応用研究も進行中である。立命館大学の赤堀次郎氏と堀田一希氏との共同研究では、離散時間確率過程に対する新しいClark-Ocone型公式やMalliavin-Mancino型公式も得られている。また、立命館大学の田端操樹氏との無限次元Hawkes過程に関する共同研究結果があり、論文を投稿予定である。
東京理科大学のNien-Lin Liu氏との金利の期間構造に対するMalliavin-Mancino法と主成分分析を用いた実証研究結果も得られており、投稿準備中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

論文の掲載受理までは時間が掛かっているが、欲しい結果自体は順調に得られていっているためである。ただし、予定通りの訪問が行えてなかったり、新しい計算機を導入してでの、深層学習や様々な数値解析手法を用いた数値解析が行えていないため、その面での遅れはある状態である。

今後の研究の推進方策

引き続き研究計画に沿って進めていく。
まずは、国内外の共同研究者達と現在までに得られている研究結果の論文を完成させ、国際誌への投稿を目指す。また、現在得られている結果の一般化についても研究が進行しており、それらの結果を得次第、数値解析の研究も進めていく方針である。
具体的には、加法過程やそれを一般化したクラスに対するClark-Ocone型公式やMalliavin-Mancino-Taylor型公式とその関連公式の導出、より広いクラスの飛躍型確率微分方程式の基本解の累積最大値の密度関数の存在性となめらかさの研究、無限次元Hawkes過程の開発とそれに対するMalliavin解析の構築等をメインに進める。また、それらの数値解析のために、新しい計算機を導入し、深層学習を含めた様々な計算手法での数値解析・実証分析も目論む。
他にも、Nien-Lin氏との共同研究は、立命館大学の赤堀次郎氏、Monash大学のJie Yen Fan氏、Cincinnati大学のJu-Yi Yen氏との共同研究プロジェクトに発展しており、新たな成果を得ることを目指す。

次年度使用額が生じた理由

当該年度では新たな計算機環境が必要としない範囲での研究を行なったため、費用が発生しなかった。次年度以降は深層学習・機械学習や様々な手法を用いた数値解析・実証研究に取り込む予定であり、計算機環境の整備が必要となる。具体的には、GPUを搭載した計算機の導入を予定している。また、国内外の研究者との研究打ち合わせを考えており、出張旅費も必要となる。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 5件)

  • [国際共同研究] フィレンツェ大学/ピサ高等師範学校(イタリア)

    • 国名
      イタリア
    • 外国機関名
      フィレンツェ大学/ピサ高等師範学校
  • [国際共同研究] シンシナティ大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      シンシナティ大学
  • [国際共同研究] モナシュ大学(オーストラリア)

    • 国名
      オーストラリア
    • 外国機関名
      モナシュ大学
  • [雑誌論文] Existence of density function for the running maximum of SDEs driven by nontruncated pure-jump Levy processes2024

    • 著者名/発表者名
      Nakagawa Takuya、Suzuki Ryoichi
    • 雑誌名

      Modern Stochastics: Theory and Applications

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.15559/24-VMSTA245

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Clark-Ocone type formulas for additive processes2024

    • 著者名/発表者名
      鈴木良一
    • 学会等名
      第20回 (2023年度) 日本応用数理学会研究部会連合発表会
    • 招待講演
  • [学会発表] A modified Φ -Sobolev inequality for L^2 -Levy processes and related concentration inequalities.2023

    • 著者名/発表者名
      Ryoichi Suzuki
    • 学会等名
      2023 AMS Spring Central Sectional Meeting: Special Session on Stochastic Analysis and its Applications
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Local risk minimization for additive models via Malliavin-Skorohod calculus.2023

    • 著者名/発表者名
      Ryoichi Suzuki
    • 学会等名
      Florence-Paris workshop on Statistics of Random Processes and Its Applications to Financial Econometrics
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Malliavin calculus for additive processes and its applications to finance2023

    • 著者名/発表者名
      Ryoichi Suzuki
    • 学会等名
      ARLES - HALE International Workshop
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Clark-Ocone-Haussmann type formulas for additive processes and applied to finance.2023

    • 著者名/発表者名
      Ryoichi Suzuki
    • 学会等名
      Stochastic Modelling in Climate Risk: Financial Mathematics and Economics
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Clark-Ocone-Haussmann type formulas for additive processes and applied to finance2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木良一
    • 学会等名
      2023年度確率論シンポジウム

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公開日: 2024-12-25  

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