研究課題/領域番号 |
23K12549
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
谷口 諒 明治大学, 経営学部, 専任講師 (90801283)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 失敗からの学習 / チーム学習 / 努力への信頼 / 能力への信頼 / 原因帰属 / 実験 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「創造的な技術課題の解決に至るチームと至らないチームの差は何か」を探求することである。2023年度は、仮説の精緻化、インタビュー調査、実験を行った。 仮説の構築においては、信頼を2つのタイプに分け、チーム学習に対する各々の効果を理論的に考察した。信頼は、相手の意図・努力に対する信頼と能力に対する信頼とに大別される。本研究では、前者が各メンバーの探索量に、一方で後者がメンバー間の知識移転に影響するという仮説を構築した。加えて、既存研究をレビューする中で、前者に関する研究蓄積は厚いものの、後者に関する研究蓄積が薄いということが明らかになった。これは、本研究の新たな貢献の方向性を示すものである。 インタビュー調査に関しては、企業あるいは研究所に勤務する研究者の方々を対象に、研究プロジェクトを推進する中でのメンバー同士のやり取りや困難な課題に直面した際の行動に焦点を当てて聞き取りを行った。サンプルは限られているが、本研究の基本的な想定や仮説と整合的な証言が得られた。 実験については、都内の大学にて、学部生を対象とした実験室実験を行い、計34チームのサンプルを得た。実験参加者は、ランダムに割り当てられた条件下で、他2メンバーとチームを組み、課題にあたった。実験条件は、他メンバーの努力に対する信頼と能力に対する信頼の高低を組み合わせた4条件である。現時点のデータは、サンプルが少ないものの、仮説をサポートする結果となっている。この結果は、2024年度組織学会研究発表大会にて報告する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、仮説の精緻化、インタビュー調査、実験を行った。既存研究のレビューを通じて、鍵概念の整理が進んだことに加えて、新たな理論的貢献の所在が明らかになった。実験についても、計画通りのサンプルを集めることができた。仮説と整合的な結果が得られている点も、研究の円滑な推進に寄与している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も、研究者(あるいは技術者)の方々へのインタビュー調査ならびに学部生を対象とした実験室実験を行う予定である。前者に関しては、これまでインタビューした方々に次なるインタビュイーをご紹介いただく計画となっている。後者に関しては、2023年度と同様の手続きで実験参加者のリクルーティングを進め、実験を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、実験用のラップトップPCを3台購入する予定であったが、既存のPCで対応可能であったため、購入不要となった。加えて、実験参加者への謝礼を予定していたが、講義の履修者を対象にリクルートしたため、謝礼ではなく、講義評価への加点を参加のインセンティブに用いた。
|