研究課題/領域番号 |
23K12593
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
角田 幸太郎 佐賀大学, 経済学部, 教授 (50549813)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | マネジメント・コントロール・システム / インセンティブ・システム / プロフェッショナル組織 / プロサッカークラブ / 人的資源会計 / 人的資本 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は「若手研究(18K12915)の成果を広める過程で関係を構築できた日本国内の複数のJリーグクラブをリサーチサイトとしてフィールド調査研究を行い、日本のプロサッカークラブにおけるマネジメント・コントロール・システム(以下、MCS)の実務の実態を把握し、英国のプロサッカークラブのMCSとの類似性および体系性を整理し、特に、インセンティブ・システムの有効性、また、監督が代わることでMCSの実務はどのように変わるのか、を検証する」ことである。 若手研究(18K12915)におけるリサーチサイトとして実証研究を行った英国のプロサッカークラブでは2023年春に変化があり、過去4シーズンにわたって好成績を収めていた監督が、2022/23シーズンは大不振に陥り、シーズン終盤に成績不振の責任を取って辞任した。 コロナ禍が収まって海外渡航も可能な状況になったこともあり、「監督が代わることでMCSの実務はどのように変わるのか」を検証するべく、2023年9月7日から20日までの日程で英国のプロサッカークラブへ再びインタビュー調査に出向き、新監督にインタビュー調査を実施した。また、英国プロサッカークラブを対象とした人的資源会計の権威であるスティーブン・モロー氏にも9月11日にスコットランドのエジンバラで再会を果たし、研究に対して意見交換を行うことができた。 インタビュー調査の結果は、2023年12月2日に九州大学伊都キャンパスで開催された九州経済学会第73回大会において「日英プロサッカークラブにおけるインセンティブ・システムの事例研究」という題目で報告した。また、2023年12月16日に神戸学院大学神戸三宮サテライトで開催された国際会計研究学会のスタディグループ内でも「日英プロサッカークラブにおける人的資本に関わる実務②管理会計の視点:インセンティブ・システムの事例」という題目で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
英国プロサッカークラブをリサーチサイトとした「監督が代わることでMCSの実務はどのように変わるのか」の検証は、2023年9月に新監督への聴き取りができたゆえ今後の進展の継続的な調査を期待したが、就任後の成績があまりにも良かったためによりレベルの高いクラブに引き抜かれてしまい、2023年12月に更に新しい監督が就任することとなった。 その新監督がデス・バッキンガム氏である。監督就任直後はチームの構築が一から出直しとなったことで順位を落としていたものの、尻上がりにチームの調子が良くなり、結果的には2023/24シーズンはプレイオフ出場圏内の6位という好成績であった。彼へのインタビュー調査は2024年度に実施予定である。 一方で、「日本のプロサッカークラブにおけるMCSの実務の実態を把握し、英国のプロサッカークラブのMCSとの類似性および体系性を整理し、特に、インセンティブ・システムの有効性」の検証はやや遅れた状態である。その理由は、2023年春に私の所属が変わったことにあり、2023年度は現任校の授業をしつつ、前任校の授業もこなす必要があり、授業期間中は国内出張と言えどもなかなか実施できなかった。2024年度は前任校の授業負担が減ったため、日本のプロサッカークラブにもインタビュー調査に出向きたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況として、「日本のプロサッカークラブにおけるMCSの実務の実態を把握し、英国のプロサッカークラブのMCSとの類似性および体系性を整理し、特に、インセンティブ・システムの有効性」の検証はやや遅れた状態である。2023年春に私の所属が変わったことで、2023年度は現任校の授業をしつつ、前任校の授業もこなす必要があり、授業期間中は国内出張と言えどもなかなか実施できなかったことにある。2024年度は前任校の授業負担が減ったため、土日を利用して日本のプロサッカークラブにもインタビュー調査に出向きたいと考えている。インタビュー調査に出向かないことには実証研究における新しい知見が得られないので、英国のプロサッカークラブへのインタビュー調査も、日本のプロサッカークラブへのインタビュー調査も、2024年度は積極的に実施したい。 また、国際会計研究学会のスタディグループ「人的資本の会計」の一員として、定期的に開催される研究会で意見交換を重ね、研究を進捗させていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、夏期長期休暇を利用して海外リサーチサイトへのインタビュー調査は実施することができたが、4月の所属変更にともなう教育活動が多忙となったことで、たとえば土日を利用しての国内リサーチサイトへのインタビュー調査は実施することができなかった。 次年度は教育活動の負担が減るため、国内リサーチサイトへのインタビュー調査も実施できる見込である。
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