研究課題/領域番号 |
23K12609
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
眞田 英毅 同志社大学, 文化情報学部, 助教 (00961971)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | テレワーク |
研究実績の概要 |
本研究は,(1)理論枠組みおよび分析手法の検討,(2)通勤時間と主観的幸福感の関連の検討, (3)パネルデータ分析による通勤時間と主観的幸福感の変化の検証,(4)コロナ禍における通勤時間の変化,という4つの課題について,研究を推進する. 本年度は,(1)の理論枠組みや分析手法の検討ならびに(2)通勤時間と主観的幸福感の関連の検討を行った.通勤時間に関する研究を進める上で見過ごせないのが,新型コロナウイルスの流行による人々の働き方の変化である.緊急事態宣言や休業要請時にどの程度の人がテレワークを実施し,働き方が変化したのかを探る必要がある.そこで,テレワークの実施頻度とその持続性について,東京大学社会科学研究所が実施している「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」のウェブ特別調査と通常のパネル調査を用いて,実証分析を行った.その結果,緊急事態宣言が初めて出た2020年4-5月には,休業要請が出されたが,実際はテレワークを実施しているのは50%にも満たないこと,またテレワークの実施割合および頻度には雇用形態や企業規模等の格差がみられた,さらに,テレワークの実施頻度は幸福感にも影響を与えており,完全にテレワーク/出社よりも一部テレワークの方が幸福感が高いことが明らかになった.この結果は,2023年の東北社会学会でも発表し,東京大学社会科学研究所のディスカッションペーパーとしてもまとめた.さらには,2024年の国際学会でも発表予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,当初予定していたように,分析枠組みの検討やデータの選定などを実施することができた.また,通勤時間及びテレワークの実情について基礎的分析を行い,ディスカッション・ペーパーにまとめることもできた.この成果は,加筆修正をした上で学会誌での投稿を目指している.加えて,次年度に実施予定のパネルデータを用いた分析も,データの入手等を済ませることができており,次年度にはスムーズに次のフェーズに移行できると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,(2)通勤手段を考慮したパネルデータ分析による通勤時間の変化と幸福感の関係について,従属変数に幸福感を設定し,その他の社会学的属性(時不変の変数)を統制した上で,通勤時間の変化が幸福感にどのような影響を及ぼすのかを分析する.また,(3)新型コロナウイルス感染拡大前後で通勤時間の変化が満足度に与える影響の比較について,今回の知見(コロナ禍における働き方の変化)を用いて,通勤時間が減少した労働者についての主観的幸福感の変化を検討した上で,コロナ禍以前に通勤時間が減少した労働者との比較検討を行う.
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