研究課題/領域番号 |
23K12644
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
任 セア 立教大学, コミュニティ福祉学部, 助教 (60875912)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 介護人材不足問題 |
研究実績の概要 |
日本は、介護人材不足問題を解決するため、参入の段階から質的確保より量的確保を優先的に目指している。しかし、無資格者、他業界から参入した介護未経験者等多様な人材によって、介護は養成教育を受けなくても「誰でもできる仕事」というマイナスイメージが発生している。これによって、養成の仕組みまで揺らいでいる。これは、日本のみの課題ではない。本研究の目的は、人口の高齢化で介護人材不足を経験した3か国(日米韓)が介護人材不足問題を解決するために実施した介護・高齢者福祉政策・施策・事業に注目する。主に、参入・養成・定着に焦点を当てて、これまでの成果と残された課題について精査した上で、日本の介護人材確保における今後の介護人材養成の在り方について示唆を得ることを目的とする。上記の目的を達成するため、次のことを明らかにする。 1)歴史的変遷の検討を通して、どのような背景から介護人材不足問題に直面しているか。 2)介護人材の参入・養成・定着において、どのような政策・施策・事業が行われるのか。 3)果たしてこれまでの実践から鑑み、その成果はあるか。 4)1)から3)までの日米韓の比較検討を通して、日本の介護人材養成の在り方について得られる示唆は何か。 2023年度には、1)について明らかにした。具体的には、日米韓の参入・養成・定着に焦点を当て、介護人材に関わる政策・制度の歴史的な変遷についてまとめ、基礎資料を収集し、その実態について把握した。また、介護人材不足問題について幅広く検討するために、介護人材のみに焦点を絞らず、ソーシャルワーカーとの比較も視野に入れた。米国の場合、ソーシャルワーカーに求められる専門性が高く、その学歴も一定水準以上に設定されている反面、ダイレクトケアワーカーにはそれほど高い専門性が求められなく、学歴制限も設定されていない。韓国と日本はどうだろうか。これに対して、より精査する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度には、現地見学・インタビュー調査に向けて、文研研究から歴史的変遷の検討を行い、どのような背景から介護人材不足問題に直面しているかについて明らかにした。主に、日本・米国・韓国の参入・養成・定着に焦点を当て、介護人材に関わる政策・制度の歴史的な変遷についてまとめ、基礎資料を収集した。日米韓の介護人材を中心に介護・高齢者福祉政策の実態を把握した。また、介護人材不足問題について幅広く検討するために、介護人材のみに焦点を絞らず、ソーシャルワーカーとの比較も視野に入れ、国際学会にて報告を行った。 以上のような理由で、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
二次データを利用した3か国の比較資料をもとに、現地見学・インタビュー調査を実施し、以下の内容について明らかにする。主なインタビュー内容は、二次データを利用した3か国の比較資料から明らかになった介護人材不足問題の実態(労働力の数、平均年齢、賃金、人種、勤務体制、学力、養成の仕組み等)についてどのように考えているのか、である。 全米組織PHI非営利団体のトレーニングの専門家と研究者とのインタビューと現地見学を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張が3月に計画されたため、手続き上、清算が次年度予算に繰り越しされたため。
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