研究課題/領域番号 |
23K12649
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
菊池 遼 日本福祉大学, 社会福祉学部, 助教 (40823167)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 地域福祉 / 担い手 / ジェンダー / 知多半島 / ボランティア |
研究実績の概要 |
我が国では地域共生社会の理念のもと、地域住民が主体的に福祉に関わることを目指している。しかしながら、地域の互助力が低下しており、包括的支援体制の構築でも「地域づくり」が課題になっている。先行研究では団塊世代の主婦層が地域福祉活動の中心的役割を担い、団塊ジュニア世代は福祉が働く場となったと指摘されている。本研究の対象となる知多半島は、福祉NPOが自治体横断的にネットワークを形成して地域福祉モデルを築いていてきた地域であり、NPOのリーダーにも女性が多いことが特徴である。だが、地域福祉の先進地で知られる知多半島であっても、近年ではゆとり世代以降は働き方やが多様化したことで、新たな人材や地域の担い手の発掘・育成が難しくなっている。地域共生社会の目標である我ごとの「地域づくり」を実践するためには、女性に限らず男性や若い世代など幅広く多様な人々が地域福祉に関与することが重要であろう。本研究では、まず知多半島のNPOにこれまでどのような変化があったのかを明らかにする。そして、知多半島の中でも(とくにジェンダーや世代に着目して)多様な人々が活躍するNPOにはどのようなインセンティブがはたらいているのか、その要因を探っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の進捗状況であるが、研究代表者のプライベートな問題によって研究時間の確保が難しかったため、2023年度は想定よりも調査が進まなかった。そのような状況ではあったものの、知多半島のNPO関係者とは非公式に意見交換を行い、フィールドの状況を把握することができた。概ね仮説通りであったが、とくに2000年の介護保険制度施行以降、事業サービスを展開することで組織基盤は安定したものの、NPOへのボランタリーな関与が減ってしまったという。そのようなNPOにおける20年あまりの変化について明らかにすべき論点が見えてきた。 一方で、愛知県知多市のコミュニティ(行政区)の会長を対象としたインタビュー調査を質的データ分析を行い、地縁組織の活動が停滞している要因を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
知多半島のNPO関係者との意見交換の中で、NPO法人の代表を務めていた人たちが世代交代をし、組織の経営を離れてからはそれぞれが生き生きとして地域活動をしているという情報を得た。それらの人々を対象にインタビュー調査を行い、どうしてそのような現象が起きているのかを明らかにしたい。 また、知多半島のNPOでも制度サービスに手一杯で地域活動をする余裕がない現状も明らかになってきた。そのような状況にありながらも、地域活動を続けて多様な人々がボランタリーに関わっているNPO法人もあった。当該法人の代表に聞き取りをしつつ、定期的な参与観察を行なっていく。このプロセスを経て、多様な人々がNPOに関わるインセンティブの変数を見つけ、定性的・定量的な調査へと繋げていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
プライベートな問題によって、出張や調査をする時間が大きく制限されてしまった。2024年度プライベートな状況にまた変化があるため,計画通りに研究を進めることが難しくなる可能性がある。しかしながら、2023年度中にはフィールドで研究を進める上での研究協力者との議論を進めることができた。研究協力者とも相談しつつ、研究の進捗を取り戻しながら、インタビュー調査やフィールドワークを定期的に行なっていく。
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