研究課題/領域番号 |
23K12713
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
志賀 祐紀 奈良女子大学, アジア・ジェンダー文化学研究センター, 協力研究員 (30835864)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 航路体験 / 留学 / 女子教育 / グローバル移動 / 近代日本人女性 / 中目たき / 湯浅年子 |
研究実績の概要 |
2023年度は、同志社女子大学とお茶の水女子大学において、戦前期の日本人女子留学生の航路体験に関する資料を調査・収集した。 同志社女子大学では、明治期の園芸家である中目たき資料を調査・収集した。その後、中目の航路体験について、概要(日程、目的、船、航路など)、船上生活の実態 (衣食住、読書、娯楽など)、異文化との出会いと学び (異文化や外国人、階層の異なる人々、異なる時代認識との接触など)などの視点から分析を行った。その成果は、『アジア・ジェンダー文化学研究』第8号(2024年3月発行、奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学研究センター)に資料紹介として発表し、戦前期の日本人女子留学生の航路体験の実態を知る意義について言及した。 お茶の水女子大学には、湯浅年子、安井てつ、二階堂トクヨなど複数の戦前期の日本人女子留学生に関する資料が所蔵されている。2023年度は2回にわたり、湯浅年子の航路体験に関する資料の調査・収集を行い、湯浅のパスポート、事務書類、スケッチ、回想録、書簡等、多くの様々な資料を収集することができた。現在、これらの資料の整理と分析を行なっている。 また、お茶の水女子大学では、歴史資料館担当者より湯浅年子以外の戦前期の日本人女子留学生や生徒の大陸旅行における航路体験に関する資料について情報を得ることができた。今後、それらの資料調査・収集を行い、考察を行う予定である。さらに、2025年度に予定している戦前期の日本人女子留学生の航路体験に関する資料展示について、お茶の水女子大学で実施する方向で打ち合わせを行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、同志社女子大学とお茶の水女子大学において、戦前期の日本人女子留学生の航路体験に関する資料を調査し、多くの資料を収集することができた。特に、同志社女子大学で収集した中目たき資料については、『アジア・ジェンダー文化学研究』第8号(2024年3月発行、奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学研究センター)に資料紹介として発表することができた。これについては、当初の計画より進展しているといえる。 お茶の水女子大学で収集した湯浅年子の航路体験に関する資料は、分量が多く、多種多様であるため、その整理と分析に時間を要しているが、2024年度中には一つの成果としてまとめる目処はついている。また、湯浅年子以外の戦前期の日本人女子留学生や生徒の大陸旅行における航路体験に関する資料について情報を得ることができたため、2024年度の資料調査・収集の方針がより明確となった。さらに、2025年度に予定している航路体験に関する資料の展示についても、実施の目処をつけることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、前年度にお茶の水女子大学で収集した湯浅年子の航路体験に関する資料を分析を行い、学会等で発表する。並行して、お茶の水女子大学所蔵の湯浅年子以外の戦前期日本人女子留学生(安井てつ、二階堂トクヨなど)に関する資料調査・収集を行い、整理・分析する。さらに、その結果により、彼女たちの旧所属先である東京女子大学などで、資料調査・収集を行う予定である。 2025年度に予定している戦前期の日本人女子留学生の航路体験に関する資料展示については、お茶の水女子大学歴史資料館の担当者と打ち合わせを進め、次年度の実施に向けて準備を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度前半に、近隣であり旅費が不要な同志社女子大学を中心に資料調査を行なったため、旅費が余ることとなった。翌年度分に繰り越し、お茶の水女子大学など東京の大学での資料調査のための旅費として使用する計画である。
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