研究課題/領域番号 |
23K12809
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
石田 修 茨城大学, 教育学部, 助教 (50909926)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 特別支援学校 / 特別支援学級 / 知的障害 / 観点別学習評価シート / アプリケーション / 各教科 |
研究実績の概要 |
児童生徒の学習状況を複数の観点から分析する「観点別学習状況の評価」は,各教科の学習状況の把握とともに,指導計画の策定や学びの連続性を確保するうえでも重要である。新年度になると,特別支援学校・学級の新担任は,前担任が作成した観点別学習状況の評価や引継ぎ資料等をもとに児童生徒の指導を計画する。観点別学習状況の評価は,単元や題材などの詳細な学習状況を把握できるが,既習事項や学習内容の変遷,得意・不得意な領域の個人内差などを把握するのが難しく,各教科における学習の全体像をイメージしにくいという課題がある。そこで本研究では,各教科の学習の全体像を把握できる評価シートを作成する。また,作成した評価シートのアプリケーションを開発して,特別支援学校・学級の教員とアプリケーションを活用した実践研究を行う。 令和5年度(研究1年目)は,知的障害特別支援学校・学級での使用を想定して評価シート(試案版)の作成に着手した。試案版は特別支援学校学習指導要領の小学部の各教科を基本として,「生活」「国語」「算数・数学」「音楽」「図画工作・美術」「体育・保健体育」の6教科に,小学部3段階(1~3),中学部2段階(4~5),高等部2段階(6~7)の7段階の目標・内容を設けた。まず6教科の目標・内容を含む先行研究について,書籍や論文,Webページ等から網羅的・探索的に調査した。次に,KJ法を用いて先行研究に書かれている目標・内容を質的に統合した。今後,発達心理学の専門家数名と協議して質的に統合した目標・内容の妥当性を検討し,評価シート(試案版)を作成する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね当初の研究目的・実施計画に従って研究を遂行できているため。
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今後の研究の推進方策 |
作成した評価シートをデジタルアプリケーションとして開発する。アプリケーション開発は,外部企業に委託するが,開発者と協議・検討しながらタブレット端末で簡便に操作可能なアプリケーションを開発していく。アプリケーションに実装する機能としては,6教科の各目標・内容ごとにドロップダウンリストを設けて,当該年度欄に〇(できる),△(芽生え),×(できない)を選択できるようにする。また,〇は2点,△は1点,×は0点とし,その合計点の年次変化を自動的にグラフ化し,その変遷を視覚的・直感的に捉えられるようにする。さらに,こうした「知識及び技能」だけでなく,平成29年改訂学習指導要領では「主体的に学習に取り組む態度」も評価の観点として示されているため,「よりよく学ぼうとする意欲」も評価できる機能を実装する。アプリケーション開発後は,特別支援学校・学級の教員に試用してもらい,使用感や有用性についてアンケート調査をする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していたタブレット型ノートパソコンの納期が遅れ,質的データの分析ソフトの購入等が遅れたため,次年度使用額が生じた。次年度にこれらを購入して研究を進めるとともに,アプリケーションを開発するための外部委託費用を計上する。
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