研究課題/領域番号 |
23K12811
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
脇 貴典 筑波大学, ヒューマンエンパワーメント推進局, 助教 (60865799)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | コンサルティの語り / 学校コンサルテーション / 問題解決 / クライエントの理解 / コンサルティの専門性 |
研究実績の概要 |
学校コンサルテーションにおけるコンサルティの語りを通した問題解決機能の質的向上に関連する要因についての検討を始めた。今年度は、学校コンサルテーションの実施者となるコンサルタントの分析に着手した。 これまでに学校現場においてコンサルテーションを実施した経験のある公認心理師・臨床心理士を対象としたインタビュー調査を行った。なお、公認心理師・臨床心理士のコンサルテーション実施時の立場は、スクールカウンセラーや教育相談員であった。インタビューでは先行研究をもとに、学校コンサルテーションにおけるコンサルタントの工夫や介入時の留意点(クライエントの見立ての方法、コンサルティとの信頼関係の構築、コンサルティへの助言・提案、学校組織への参入、管理職を対象とした介入など)について聞き取るために、半構造化面接を行った。 インタビューの結果から、コンサルタントはコンサルティの語りを引き出す際に、クライエント、コンサルティ、学校組織それぞれの視点を踏まえてコンサルティとのコミュニケーションを図っていることがうかがえた。特に、コンサルテーションの定義にもあるように、異なる専門家間での対等なコミュニケーションを成立させるための工夫(例えば、コンサルタントから一方的に解決策を提示するのではなく、コンサルティ自身で実施可能な支援を立案・言語化してもらうための働きかけ、コンサルタントがワンダウンすることによるコンサルティの主体的・能動的なコミュニケーションの促進など)や、クライエントに生じた問題の検討を促進させるための工夫(例えば、クライエントの状態をさまざまな視点から説明することで、コンサルティにクライエントの行動や問題の理解を促すことなど)を行っていることがうかがえた。 これらのコンサルタントの工夫により、コンサルティがクライエントの理解を深め、コンサルティの主体的な問題解決を促していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定よりもインタビュー調査協力者が少なくなり、データ収集の進捗がやや遅れている。引き続き、研究協力者への協力要請とデータ収集を行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は追加のインタビューを行い、さらなるデータ収集を行う。また、それらのインタビュー結果をもとに、コンサルティの語りを引き出すために行われているコンサルタントの関わりについて整理し、それをもとにした調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査の協力者が計画よりも少なかったために、逐語起こし等の業務委託料が減り未使用額が発生した。未使用額は、次年度の追加のデータ収集やデータ処理のために使用する予定である。
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