研究課題/領域番号 |
23K12820
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研究機関 | 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 |
研究代表者 |
河原 麻子 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 西日本ブランチ広島オフィス, 研究員 (50908481)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 盲ろう / 実態把握 / 盲ろう児の「手」の読み取り / 重複障害 |
研究実績の概要 |
視覚と聴覚の双方に障害がある学校段階の子どもは「盲ろう児」と呼ばれている。盲ろうは希少障害とも言われ、盲ろう児を始めて迎え入れる学校や、盲ろう児を始めて担当する教員は少なくない。一方で、盲ろう児担当教員には、盲ろう児の視覚・聴覚情報を補い、彼らの世界を広げるための特有の専門性が必要とされている。これらのことから、盲ろう児指導にあたる教員への情報提供や研修の機会の提供は不可欠であると考えられる。 本研究では、盲ろう児担当教員に必要とされる専門性の中でも実態把握に焦点を当てている。子供の発信を読みとり、実態把握するための具体的な視点はあまり明らかにされておらず、教員の暗黙知に頼っていると考えられるためである。本研究は、実態把握の中でも、盲ろう児の手の動きの読み取りに着目した。盲ろう児にとっての「手」は、本来の「道具を扱う」役割だけでなく、「世界を知覚する手段(探索)」としての役割と、「声や表現(コミュニケーション手段)」の役割をも担うとされ、盲ろう児の興味関心や情動の変化を読みとる重要な部位であるためである(Miles, 1997)。 令和5年度は、①盲ろう児指導経験の浅い教員が盲ろう児の実態を把握する際の視点を明らかにすること、②彼らが手の動きを捉える視点を明らかにすることを目的に、インタビュー調査を行った。盲ろう児が在籍する聴覚障害の特別支援学校1校を2回訪問し、自立活動(コミュニケーション)の指導をビデオ録画し、授業の様子を振り返りながら聞き取り調査を行った。インタビューで得られた情報は、現在分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画では、初年度は1校に対して4回の訪問(4月、7月、12月、3月)を実施予定であったが、倫理審査や、学校との日程調整が難しかったことから、9月および12月の2回の訪問となった。現在、2回の訪問結果から得られたことを元に、分析方法等再検討している段階である。2年度以降は、計画通り、4月から4回の訪問が可能となるように準備を進める。
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今後の研究の推進方策 |
2年度以降は、1年間を通して新たに2校で同様の調査を行うと同時に、熟練教員(ここでは盲ろう児指導経験が5年以上ある教員とする)にも同様の調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、学校を複数回訪問しデータ収集を行っているが、学校への依頼や倫理審査、学校との日程調整の関係から、計画上よりも少ない回数での実施となった。そのため、当初の予定よりも旅費が低くなった。
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