研究課題/領域番号 |
23K12841
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
渡部 宏樹 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 研究員 (00849896)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 学習意欲 / 脳波 / 個別最適化学習 / 事象関連電位 |
研究実績の概要 |
本研究では、デジタル教材を使用した学習中の脳波を活用し、客観的な学習意欲の推定技術の開発を行い、さらに、学習意欲の推定結果に基づいて各学習者に最適な達成目標を設定することで、個別最適化された学習を提供する学習システムの開発を目指している。今年度の研究では、実際の学習環境を模した状況でデジタル教材を使用した学習中に計測した脳波を利用して、どのような目標指示が学習者の学習意欲を向上させるかを推定するための機械学習モデルを開発した。学習中の脳波データを計測するために、タブレットを使用して算数問題を解くデジタル教材を準備した。学習者には、異なる複数の達成目標(自己ベストを更新する、他の学習者と比較して良い成績を収めるなど)を設定し、その目標を達成することを目指して教材に取り組むように指示し、その最中の脳波を計測した。計測した脳波データから学習意欲を推定するため、学習意欲に応じて変動すると知られている、正解または不正解のフィードバックを処理する事象関連電位(P300およびフィードバック関連陰性電位)の反応パターンに注目し、この反応の変動を捉えることで、どの達成目標が学習者の意欲を最も向上させるかを予測する機械学習モデルの評価を行った。今年度の研究によって、実際の学習環境に近い場面でも、脳波を用いて個々の学習者に合わせた効果的な目標設定が可能であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実際の学習環境を模した状況においても、脳波を用いて推定した学習意欲に基づく目標設定が可能であることを示すことができ、研究はおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、個人差による脳波の変動を考慮に入れることで、予測の精度を高めるモデルの改良を行う。また、モデルの汎用性を高めるために、さまざまな教材を用いた学習意欲の推定評価を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、データ解析及び予測モデルの構築に既存機器を使用したため。次年度以降、予測モデルの性能向上に向けたハードウェアの購入及びデータ解析のための人件費、成果発表のための旅費に使用する計画である。
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