研究課題/領域番号 |
23K12854
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
浦野 由平 山形大学, 地域教育文化学部, 講師 (20828462)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 感情制御 / 対人的感情制御 / 関係流動性 / 居住地流動性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、社会生態学的要因の「関係流動性」に着目し、社会環境の性質が対人的感情制御の傾向や機能にどのような影響を与えるかについて検討することである。本年度は、倫理審査の申請、研究計画の事前登録、調査実施、収集されたデータの分析、分析結果の考察を中心に行った。
初年度は、今後の研究で使用する尺度(感情制御的サポートの受領傾向を測定するReceived Assistance in Regulating Emotions Questionnaire; RAREQ)の選択肢等を改訂し、オンライン調査を実施した。分析の結果、改訂版尺度は旧版尺度と同様に良好なモデル適合度を示し、関連尺度とも概ね予想通りの関連が示された。また、感情制御的サポートの受領傾向は関係流動性とも予想していた方向性での関連を示した。 当初計画では縦断調査を実施する予定であったが、今後検討を進める上で社会環境の流動性(関係流動性・居住地流動性)と対人的感情制御の全般的な関連の検討がまず必要と考えられたため、次年度予定されていた居住地流動性が異なる地域における対人的感情制御の差異に関する検討を前倒しして行った。国内地域比較調査を実施し、現在分析の途中であるが、仮説を一部支持する結果が得られているところである。一方で、仮説とは異なる結果も得られているため、現在は関係流動性・居住地流動性・対人的感情制御の先行研究を参照しながら、分析結果の考察を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた縦断調査は未実施であるが、今後使用予定の尺度の改訂や次年度予定していた国内地域比較調査を実施できたため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も収集した調査データを分析し、対人的感情制御における社会環境の機能について検討する予定である。一部仮説とは異なる結果も得られたため、先行研究を参考にしながら考察を進め、計画変更の可能性も含めて今後の調査・実験計画について再検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた縦断調査が未実施であること、学会へのオンライン参加で旅費が発生しなかったこと等から、予定よりも支出額が少なくなった。あわせて、統計分析を実施するためのPCを購入する予定であったが、研究の進捗状況等を踏まえて次年度に繰り越すこととなったため、次年度使用額が生じた。
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