• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

動脈血圧反射が社会的痛みの生起に関わる心身活動に与える影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K12869
研究機関高知工科大学

研究代表者

伊崎 翼  高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 助教(プロジェクト) (00868284)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード心周期 / 心臓収縮期 / 社会的痛み / 心拍変動 / 圧求心性信号
研究実績の概要

所属する社会集団から無視されたり拒絶されたりする経験(社会的排斥)をすると,社会的痛みと呼ばれる精神的な苦痛が生じる。申請者の先行研究では,血圧を調節する仕組みである動脈血圧反射を排斥経験中に実験的に誘発することで,生じる社会的痛みは小さくなることを発見した。
令和5年度は,実験的に動脈血圧反射を誘発した場合と同様に,安静時に動脈血圧反射が自然に活性化した場合でも,生じる社会的痛みが緩和されるか検証した。排斥課題にはオンライン上でのキャッチボールゲームであるサイバーボール課題を使用し,参加者に対して投球される頻度を操作することで,排斥状況を再現した。心周期において,心臓収縮期には血圧反射による圧受容器からの求心性信号が増大し,一方心臓拡張期には低下する。そこで,排斥されていることを知らせる手がかり刺激である他者間での投球を,収縮期もしくは拡張期のどちらかに合わせて呈示し,収縮期における排斥手がかりの呈示により社会的痛みが低下するか検討した。加えて,社会的痛みは排斥手がかりに対する注意量と比例することから,刺激への注意を反映する心拍減衰が生じるか検討した。さらに,動脈血圧反射による求心性信号の神経伝達路である副交感神経の活動は,心拍変動 (heart rate variability: HRV) と関連を持つ。そのため,収縮期における社会的痛みの緩和とHRVとが相関するかを検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和5年度に実施した実験では,予定していたデータ数(N=40)の収集を完了し,データ処理および解析も終わっている。データから得られた知見は,国内学会および国際学会での発表を予定しており,合わせて論文化を進めている。また,得られた知見を基に,令和6年度に実施する予定の実験計画の修正を行い,「動脈血圧反射が社会的痛みに影響する機序の解明」という本課題の目的により沿った内容へ変更した。以上より,当初の計画に対して,おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

令和5年度に収集したデータより,動脈血圧反射が社会的痛みに影響する機序として,刺激に対して配分される注意量が関わっている可能性が示唆された。加えて,動脈血圧反射が注意量を調節する過程で,青斑核の活動が関与する可能性も示唆された。そのため令和6年度には,刺激に対する注意量を測定するために脳波を計測し,また青斑核の活動と関連する瞳孔反応を測るためアイトラッカーを用いた実験室実験を行う。

次年度使用額が生じた理由

当初,初年度の助成金使用として血圧計を計上していたが,現在の所属において使用している生体計測システムを修正することで代用可能となり,購入が必要なくなったため,次年度使用額が発生した。令和6年度に予定している実験は他機関の協力を得て実施するため,次年度使用額は使用料等,令和6年度の実験関連費用として使用する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Carotid sinus baroafferent signals contribute to cerebral blood flow regulation during acute hypotension in young males: A randomized crossover study2024

    • 著者名/発表者名
      Ishii Kei、Izaki Tsubasa、Asahara Ryota、Komine Hidehiko
    • 雑誌名

      Physiological Reports

      巻: 12 ページ: e15937

    • DOI

      10.14814/phy2.15937

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dispersing attentional resources reduces negative emotions2023

    • 著者名/発表者名
      Izaki Tsubasa、Ogawa Keiko
    • 雑誌名

      NeuroReport

      巻: 34 ページ: 599~605

    • DOI

      10.1097/WNR.0000000000001929

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Differential relationship between decreased muscle oxygenation and blood pressure recovery during supraventricular and ventricular tachycardia2023

    • 著者名/発表者名
      Ishii Kei、Machino Takeshi、Hatori Yasuhiro、Gwak Jongseong、Izaki Tsubasa、Komine Hidehiko
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 ページ: 15886

    • DOI

      10.1038/s41598-023-42908-2

    • 査読あり
  • [学会発表] 動脈血圧反射が不快刺激への注意配分に与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      伊﨑翼・石井圭・浅原亮太・木村健太
    • 学会等名
      第41回日本生理心理学会大会
  • [学会発表] 動脈血圧反射による社会的痛みの緩和に関する追試的検討2023

    • 著者名/発表者名
      伊﨑翼・石井圭・浅原亮太・木村健太
    • 学会等名
      日本感情心理学会第32回大会
  • [学会発表] 動脈血圧反射は社会的排斥に対する攻撃行動を抑制する2023

    • 著者名/発表者名
      伊﨑翼・石井圭・浅原亮太・木村健太
    • 学会等名
      日本社会心理学会第64回大会
  • [学会発表] The arterial baroreflex suppresses the aggressive response to social exclusion2023

    • 著者名/発表者名
      Tsubasa Izaki, Kei Ishii, Ryota Asahara, Kenta Kimura
    • 学会等名
      21st World Congress of Psychophysiology
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi