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2023 年度 実施状況報告書

仲間集団が児童生徒の社会的情報処理と攻撃行動に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 23K12871
研究機関山形大学

研究代表者

関口 雄一  山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (70758820)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード社会的情報処理モデル / 攻撃行動 / 中学生
研究実績の概要

本研究課題では,児童生徒の攻撃行動を促進する要因について,Lemerise & Arsenio(2000)の統合的社会的情報処理モデルに基づき,認知面と感情面の両面から検討を行うことを目的としている。なお,先行研究では,感情を含まない情報処理プロセスは場面想定法を用いて相手の行動の意図解釈を問う質問をすることで測定されている(e.g., Crick, Bigbee, & Grotpeter, 2002)。そこで,まずは感情を含めた情報処理プロセスの測定を可能にすることを目指し,測定の際に提示する架空の場面において生起する感情についても測定項目に含め,意図解釈の変数と併せて測定し,信頼性と妥当性を検証した。
中学1年生~3年生243名(男子121名,女子120名,不明2名)を対象に,場面想定法による質問紙調査を行った。今回提示した各場面は,回答者が学校生活で何らかの失敗をしており,その失敗について同級生から言及される状況を想起させるものであった。各場面でのネガティブ感情6項目と,同級生の意図を敵意的なものとみなす傾向3項目を測定した。
先行研究の手続きを参照し,3つの各場面で測定されたネガティブ感情の対応する項目の得点を加算し,場面数の3で除した値をネガティブ感情の6項目の粗点とした。この6項目に対して最尤法・プロマックス回転による因子分析を行った。その結果,5項目2因子解が得られた。各項目の内容から第一因子は屈辱感と命名され(α=.83),2項目からなった第二因子は罪悪感と命名された(α=.90)。次に,変数間の相関係数を算出した。その結果,屈辱感は敵意帰属バイアスと有意な中程度の正の相関を示したが(r=.62,p<.001),罪悪感は有意な相関を示さなかった。この結果から,ネガティブ感情の種類によってその後の社会的情報処理過程に作用するメカニズムが異なる可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究課題は児童生徒の攻撃行動の生起要因について検討することを目的としているが,当該年度に実施できた調査は中学生に対するもののみであった。児童を対象とした調査は,調査協力校における学級閉鎖等の不測の事態によって,調査実施が見送られることになり,予定通りの調査が行えなかった。こうした状況から,「(3)やや遅れている。」と判断した。

今後の研究の推進方策

多忙な学校現場に対する調査依頼では,学級閉鎖などの不測の事態によって調査協力が撤回されることもあることを踏まえ,今後の調査では,学級集団の効果を検討する必要がなく,学級単位による測定を必要としない場合には,学校に対する調査依頼以外の方法も併用することで研究計画の遅れを取り戻すことを検討している。

次年度使用額が生じた理由

調査協力を取りつけた学校で,学級閉鎖が生じるなど不測の事態が起き,学校での調査が難航したため,調査協力の謝金として想定していた予算を使用することができなかった。そこで翌年度分に予算を合わせて請求した。

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公開日: 2024-12-25  

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