研究課題/領域番号 |
23K12885
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研究機関 | 北陸大学 |
研究代表者 |
仲嶺 実甫子 北陸大学, 国際コミュニケーション学部, 講師 (10848021)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | コンパッション / セルフ・コンパッション / ソーシャルサポート / 学級集団 |
研究実績の概要 |
いじめ問題の解決やより良い対人関係を学校場面で築くことのできる学校環境づくりは,学校が児童生徒にとって健全な成長の場となり,より良い学校生活を送るために重要であると考える。本研究では,自他への思いやりの態度であるコンパッションの涵養を目的とした介入プログラム学級集団内を対象に実施し,対人関係の問題の改善やより良い対人関係づくりを目指す。具体的には,調査,実験によって,向社会的行動とコンパッションとそれに関連する概念であるマインドフルネスとの関連について検討する。そのうえで,向社会的な学級集団作りのためのコンパショントレーニングを作成し,学級集団を対象としてその効果を検討することを目的としている。 小中学校にてコンパッションとソーシャルサポート,道徳規範への非従事,学校適応感の関連を検討した。コンパッションとソーシャルサポートは学級集団において集団レベルの正の関連があることが示された。一方で,道徳規範への非従事に関しては,個人レベルの負の関連が認められたものの,集団レベルでの関連は認められなかった。ソーシャルサポートと学校適応感は集団レベルの関連が認められている。このことから,学級集団のコンパッションを高めることはソーシャルサポート,学校適応感を高めることにつながると思われる。加えて,小学校1校,中学校1校を対象に今年度は単回のコンパッションに基づく介入プログラムを実施した。プログラム参加者からは,自分が周りから得られているサポートへの気づきや向社会的行動の動機の高まりが感想としてられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コンパッションとソーシャルサポート,道徳規範の非従事,学校適応感の関連について今年度は調査研究を実施行う予定であり,その計画を達成することができた。当初の計画では今年度予定していなかった単回でのプログラムを実施することができ,本介入の予備的な知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
教育現場での調査,介入研究を引き続き行う。複数回の介入プログラムを実施し,学級でのコンパッションに基づく介入プログラムが学級のソーシャルサポート,学校適応感を変容し得るか検討する。加えて学会発表や論文投稿を行い研究成果の発表を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度,参加を予定していた国際学会に体調不良のため参加が叶わなかった。また,実験参加者への謝金を予算を組み込んでいたが,実験よりも先に介入研究の予備研究を行う目途がたったため,そちらを優先した。そのため,実験にかかる謝金が発生しなかった。今年度使用しなかった助成金は次年度に使用し,実験及び介入研究を行うための謝金,資料や備品購入の費用とする予定である。
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