研究課題/領域番号 |
23K12908
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
小川 将 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (10896161)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | SOSの出し方教育 / 自殺対策 / 地域連携 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
東京都は自殺総合対策大綱を踏まえ「身近にいる信頼できる大人に相談しよう」をコンセプトとし、子どもに対して生きる促進要因である「信頼できる人間関係」の構築を促している。申請課題はこれまでの「地域で連携するSOSの出し方教育」の課題を明らかにし、改良を加え、「SOSの出し方教育」および「SOSの受け止め方教育」を実施することである。2023年度の上半期では2022年度に実施されたプログラム(中学生346名、小学生168名)をもとに研究課題を進めた。 中学校においては、シニアボランティア、保健師、教員とともにSOS出し方教育を実施した。小学校においては、シニアボランティア、臨床心理士/公認心理師、教員と連携した。その中の調査において、「SOSの受け止め方教育」の教材作成の基礎資料のために、児童生徒における「信頼できる大人」像、「手段」について検討した。中学生は「信頼できる大人」として、「親身な態度」、「優しい」、「規範性・規範意識」などの人格的側面に加え、「傾聴的態度・受容的態度」など相談を受ける際の姿勢/技術を重要視していた。相談手段は「メール・LINE等のテキストメッセージ」が最も多く、相談相手は家族、次いで教員であった。小学生も概ね同様の結果であった。児童生徒から信頼できる大人となるには話を聞く姿勢が重要であり、「SOSの受け止め方教育」の一部である「信頼できる大人」の養成において専門家(臨床心理士/公認心理師)が関与することの重要性が示唆された。 2023年度下半期では、小学校1校(174名)、中学校2校(358名)で同プログラムを実施した。上記内容を精緻に検討するため、質問内容に改良を加えた。現在、各学校からデータを回収し、データクリーニングを行っている。「SOSの受け止め方の教育」の教材については、現在、研究チーム内の専門職と協議を行い教材案の開発中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「SOSの受け止め方の教育」については、やや遅れている。教材作成のために連携する公認心理師/臨床心理士/スクールカウンセラー適任者の選定、協力の内諾は得ていたものの、スケジュール調整に時間を要し、全体として後ろ倒しとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
協力学校のスケジュールの関係で、地域連携型 SOS教育プログラム」の実施は10月以降である。「SOSの受け止め方教育」を受講予定のボランティアとの連携は良好であるため、教材作成が完了次第、間もなく実施することが見込まれる。今まで以上に計画を円滑に進めるため、適宜、有識者の意見を請う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本課題では「SOSの受け止め方教育」の教材作りと講座の実施が最も費用を要する計画であり、その計画が後ろ倒しとなっている。そのため、年度使用額が生じてしまった。
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