研究実績の概要 |
aを正の実数、kをN次元ユークリッド空間内のルート系上の鏡映群不変な非負関数とする。BenSaid-小林-OrstedはSL(2,R)の普遍被覆群と鏡映群の直積のユニタリ表現をN次元ユークリッド空間上のL2空間に構成し、特殊直交群SO(2)の普遍被覆群の作用が虚軸での作用となる(k,a)-一般化Laguerre半群という正則半群の積分核を特殊関数の積の無限和の形で与えた。この半群は(|x|^{2-a}L_k-|x|^a)/aという微分差分作用素で生成されており(L_kはDunklラプラシアン)、特別な場合((k,a)=(0,2),(0,1))にはHermite半群やLaguerre半群というよく知られている半群と一致する。 これらの特別な場合で成り立つことが知られていたStrichartz評価が、例えばNが2以上の時に1<=a<=2または0<a<1かつk=0ならば(k,a)-一般化Laguerre半群に対しても成り立つことを示した(平良晃一氏と共同)。この結果は変形パラメータaが1や2より大きいかどうかで作用素の解析的な性質が変わってしまうことを意味する。 証明では、先行研究で変形I-Bessel関数やGegenbauer多項式を用いた無限和として与えられていた半群の積分核を一様に評価することが必要となる。Poisson和公式を用いて積分核を積分の無限和へと書き直して位相停留法を用いる方法と、積分核の複素領域上での積分表示を与えて上手く積分路を変形して評価する方法の2通りの証明を与えた。前半の手法は論文として投稿し、後半の手法に関する論文は執筆中である。
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