研究課題/領域番号 |
23K12969
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
植木 潤 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 講師 (90780081)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 岩澤不変量 / p進トーション / 多変数Alexander多項式 / 副有限剛性 / チェボタレフ絡み目 / 表現 / 単数と曲面 |
研究実績の概要 |
I) 結び目のp進トーションの分布定理に向けた予備調査.不分岐Zp被覆の岩澤型公式の証明.II) 絡み目のZp直積被覆の岩澤型公式の改良.分岐・不分岐被覆の比較.共著論文を雑誌に投稿した.III) 絡み目の多変数Alexander多項式の副有限剛性の定式化,巡回集結式に対するFriedの定理の多変数版の提案.絡み数やCassonLin型不変量の剛性の調査.Liuの結果を拡張すべく幾何群論の深い議論にまで踏み込んだ.IV) チェボタレフ絡み目を備えた3次元多様体上で,遠アーベル幾何学の「ノイキルヒ・内田の定理」の類似を定式化し,鍵となる補題の証明に成功.V) 8の字結び目の補空間における測地結び目同士の絡み数の調査.VI) モジュラー結び目のチェボタレフ性の証明の改良.VII) ねじれホワイトヘッド絡み目のnon-acyclicSL2表現の重複度について,L関数の零点の位数の定義を修正し結果を強化.VIII) 結び目の剰余表現の変形可能性を巡回被覆のホモロジー群の位数から判定できるという奇妙な命題の定式化.IX) グラフの岩澤理論・有限代数的数・幾何群論・副有限剛性・岩澤理論についての情報収集.
招待による国際講演:カナダ・スペイン・ドイツ・京都・九州 重要な海外滞在:イギリス(ケンブリッジ) 査読付き論文受理:i) Twisted Iwasawa invariants of knots, Math. Nachr. ii) A note on units and surfaces (survey), Springer Proc. i) では結び目群のSL2表現の岩澤不変量が種数やファイバー性を決定するという定理を示した.ii)はReznikovの提案していた曲面・単数・円単数に関する指摘について,言葉を補って吟味したものである.他に投稿中が4本, 投稿準備中が2本ある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
副有限剛性・幾何群論・岩澤理論の国際集会での情報収集が功奏し,新たな共同研究者を得るなどして研究の射程が大きく拡張された.Stickelberger元周りの定式化の試行には至らなかったが,多くの予備調査や副課題が進捗を得た.
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今後の研究の推進方策 |
数論トポロジーと副有限剛性問題はいずれも大きな国際的潮流が発生しているので,時機に応じて自分の強みを活かせる振る舞いを心がけ,プレイヤーとしての役割を果たせるようにする.またコミュニティの人々と良好な関係を築きながら,より深い長期的展望を切り拓けるよう努める. 引き続き地道に文献による予備調査・足を使っての情報収集・対面やオンラインでの研究討議・各種集会での講演・論文執筆などを行っていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
関係者都合によりセミナー謝金額が当初予定よりも少なくなった. 予定していた機器の購入が時機的・環境的な都合で順延となった. 重要な国際学会が複数開催され,適切な運用の結果,繰越額がこの金額となった. 国際的な研究情勢が大きく動いているので,引き続き旅費を重視する運用とする.
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