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2023 年度 実施状況報告書

遅延微分方程式の力学系理論の基礎整備と応用探索

研究課題

研究課題/領域番号 23K12994
研究機関東北大学

研究代表者

西口 純矢  東北大学, 材料科学高等研究所, 助教 (60813392)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワード局所半流れ / 多価力学系 / 位相空間 / オメガ極限集合
研究実績の概要

連続時間の力学系は,典型的には微分方程式の初期値問題から得られる.微分方程式の解の振る舞いであるダイナミクスを力学系として考察する際には,初期値問題の解がすべての$t \ge 0$で定義されること,および解が一意であることは通常,仮定される.これらの性質は微分方程式の初期値問題の「適切性」の条件の一部となっている.

しかしながら,解がすべての$t \ge 0$で定義されているとは限らない微分方程式の初期値問題や,解が一意とは限らない微分方程式や微分包含式を考えることができる.前者に対しては局所半流れという概念が,後者に対しては多価半流れという概念が用いられる.これらの「解の時間に関する局所性」と「軌道が多価であること」を組み合わせたときに何がもたらされるかを調べるために,位相空間における"non-global multivalued semiflow"に関する理論を発展させた.

具体的には,"non-global multivalued semiflow"に対する極小モデルである\textit{multi-valued quasi-semiflow}の概念を導入した.これにより,本研究は局所半流れと多価半流れの研究の単なる統合以上のものとなる.位相空間上のmulti-valued quasi-semiflowに対して,相空間の各点$x$の多価運動を考える.この多価運動があるコンパクト集合にclusterするとき,多価運動のオメガ極限集合が空集合でないことを示した.さらに,この非空性が多価運動の最大存在時間の無限性を導くことを明らかにした.これらの結果は,位相空間における"non-global multivalued semiflow"の力学系理論の基礎を与えると考えられる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は,状態依存遅れを持つ微分方程式の力学系理論の基礎を与えると考えられるため.

今後の研究の推進方策

具体的な非線型遅延微分方程式の解析を通して,遅延微分方程式に対する不変多様体や分岐理論を整備する.

次年度使用額が生じた理由

本研究による出張が少なかったため.次年度は海外出張及び物品購入に使用する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Dynamical systems with multivalued motions: maximal time of existence and omega-limit sets2024

    • 著者名/発表者名
      西口 純矢
    • 学会等名
      京都力学系セミナー
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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