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2023 年度 実施状況報告書

半線形熱方程式の爆発解の厳密な爆発時間の解明と未知の実現象に対する研究基盤の確立

研究課題

研究課題/領域番号 23K13018
研究機関中央大学

研究代表者

水口 信  中央大学, 理工学部, 助教 (90801241)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2028-03-31
キーワード最良な誤差定数 / 直交射影 / 固有値問題 / 全離散近似解に対する誤差評価
研究実績の概要

今年度は主に様々な偏微分方程式の近似解に対する定量的な誤差定数値の計算法の改良案を検討した.この誤差定数値の計算法の改良は本課題達成のためだけの局所的なものでなく, 偏微分方程式の解に対する精度保証付き数値計算法の発展へとつながる重要な意味をもつ. 以下で本年度実施した研究について簡潔に報告する.
まず, ヒルベルト空間上の有限次元部分空間への直交射影に対する2つの誤差評価の最良な定数が一致することを導いた. そしてその導いた性質から微分作用素のコンパクト性を仮定すればその最良定数値を求めることはある固有値問題の最小固有値を求めることと同値であることを導いた.これにより数値解析, 特に精度保証付き数値計算法で研究されている微分方程式の誤差定数値に対する評価をより精密化かつ計算しやすい形に定式化できた.
さらに放物型方程式の全離散近似解に対する誤差定数値の計算法の改良法にも着手した.この全離散近似解の誤差定数値の計算法は色々提案されてはいるが, その値を導出する際に大きなサイズをもった行列の固有値を計算する必要があるため, 扱う放物型方程式が難解になると値の算出が難しくなる欠点を抱えていた. そこで既存の誤差定数値のみで構成できる計算法を編み出すことでその行列計算を使わずに計算する方法を検討した. 特にこの全離散近似解は本課題達成に重要な爆発解の数値的検証法に必要な要素のひとつであり, 検討中の計算法が確立されればより精度の良い爆発時間の範囲が算出されることが期待できる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は主に当該研究課題達成に必要な解の検証法を構築するための基礎固めを行う研究活動の期間であり, その研究過程で偏微分方程式の解の数値的検証法や課題達成に必要な様々な評価式を構築した.特にヒルベルト空間上の直交射影の最良誤差定数値とある固有値問題との関連性に関する研究成果の論文が採択されたこともあり, 今年度の進捗は順調であると思われる.

今後の研究の推進方策

次年度は本年度の基礎固めした内容をさらに発展させていく. 例えば, 今年度に検討した全離散近似解の誤差定数値の評価または計算法をより具体化させる.既存の楕円型偏微分方程式の直交射影に対する誤差定数値を放物型偏微分方程式の空間と時間両方向に対して応用することで必要な全離散近似解の評価を構築する計画である. そして実際の研究課題の偏微分方程式の解の数値的検証法へ応用化に対しても検討を重ね, 手法を強化していく予定である.

次年度使用額が生じた理由

本年度は研究準備開始ために必要なPCや書籍などの一部を購入することを計画して予算を計上した. しかし実際はPCのパーツの一部は既存のものでも対応でき, 書籍なども予定より安価で購入できた. そのため次年度の購入予定の書籍ためなどの費用として再計上する. よって研究計画自体に支障はない.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 抽象的なHilbert空間の有限次元部分空間への直交射影の誤差に対する最良定数2024

    • 著者名/発表者名
      高橋 宗久, 関根 晃太, 水口 信
    • 雑誌名

      日本応用数理学会論文誌

      巻: 34 ページ: 19~32

    • DOI

      10.11540/jsiamt.34.1_19

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 発展作用素を用いた初期値問題の精度保証付き数値計算~単調性を用いた爆発解検証への適用について~2024

    • 著者名/発表者名
      橋本 弘治, 水口 信, 関根 晃太, 中尾 充宏
    • 学会等名
      第20回 日本応用数理学会 研究部会連合発表会
  • [学会発表] 発展作用素を用いた初期値問題の精度保証付き数値計算~変則的位相を用いた大域解検証への適用について~2024

    • 著者名/発表者名
      橋本 弘治, 水口 信, 関根 晃太, 中尾 充宏
    • 学会等名
      第20回 日本応用数理学会 研究部会連合発表会
  • [学会発表] 放物型方程式の全離散近似解に対する定量的な誤差評価2023

    • 著者名/発表者名
      水口 信, 中尾 充宏, 橋本 弘治, 関根 晃太, 大石 進一
    • 学会等名
      2023年度 日本数学会 秋季総合分科会
  • [学会発表] The best constants for the projection error on triplet Hilbert spaces2023

    • 著者名/発表者名
      Munehisa Takahashi, Kouta Sekine, Makoto Mizuguchi
    • 学会等名
      Japan Society for Simulation Technology (JSST2023)
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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