研究課題/領域番号 |
23K13048
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
朝永 顕成 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター, 研究員 (50966520)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 超伝導量子回路 / 量子コンピュータ / 量子光学 / 超伝導 / 量子情報 |
研究実績の概要 |
所属機関を移動したため、特に回路の作製に関して新しい装置・環境下で超強結合系のサンプルに適した条件を探索する必要があった。これに対して、新しい所属機関の蒸着器を用いて、ジョセフソン接合の電流密度3uA/um^2程度を制御する条件の探索を行い、これを含めたサンプル作製工程全体を習得、確率することができた。 また新たに超強結合系とトランズモンを同一チップに配置した読み出し回路を設計し、描画用のマスクを作製した。 理論面に関しては、超強結合系を用いたホロノミックゲートを提案した論文を精査し、実際に作製可能な回路と照らし合わせたところ、2量子ビットより上にはスケールしないであろうということが分かった。これを踏まえて新しい2量子ビットゲートをかける方法を現在検討している。この課題について「第 49 回量子情報技術研究会」にてポスター発表を通して参加者と議論を行った。 この成果は、2量子ビットを1共振器に超強結合する実験を行った際に発見したものであり、超強結合を量子コンピュータへ応用するためにも重要な研究結果となっている。この成果に関しては現在論文を投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究機関が移動になったことで、回路作製をこれまでとは違った環境で一から習得し、本課題に適したパラメータが得られるよう調整する必要があり、これに多くの時間を要した。 また測定環境も新しくなったため、技術の習得に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
回路作製や、測定に関しての基礎技術を新たな所属機関で習得することができたため、今後は実験サイクルを回して測定を重ねていく予定である。 2024年度には、読み出し回路を作製し最初の測定を行う予定である。スペクトル測定を繰り返し、回路パラメータが固まり次第、実際の状態読み出し実験に入る予定である。 また量子コンピュータへの応用可能性に関して理論面からの検討も引き続き行う。研究活動スタート支援で行っていた3準位原子と共振器との超強結合系の研究は一定の成果を得たが、これが量子計算に利用可能かどうかについては今後も実験と理論両面から調べていく必要があるためこれについても取り組んでいく。
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