研究課題/領域番号 |
23K13131
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
上岡 修星 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (90921247)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ミューオン / パルスレーザー / 超低速ミューオン / 全固体レーザー / ミューオニウム |
研究実績の概要 |
ミューオンを用いた精密測定に欠かせない高強度の超低速ミュオン源の実現のために、ミューオニウムを2S状態経由でレーザーイオン化するための244nm光源の開発を行った。KEKつくばキャンパスで開発されている全固体のNd:YAG光源を改良、応用して5Hz、1.7J出力まで達成し、その倍波を励起光として、チタンサファイア共振器、2段のマルチパスアンプからなるチタンサファイアレーザーを励起した。繰り返しは5Hzに抑えた状態のR&Dではあるものの、パルスエネルギーとして最大150mJが得られ、当初の目標の半分の引き出し効率まで達成した。また波長変換も行い、244nmパルスの生成まで確認し、短期的な効率ではあるものの当初設定した目標の半分の30mJの出力まで達成した。効率の向上と長期安定化、周波数チャープの測定と補正が今後の課題である。すでにパルス幅が想定より短いこと、後述の実験でARコートされたBBO結晶の劣化が著しいことが発覚したため、より反射率を最適化した共振器ミラーの入手、CLBO結晶の導入準備を進めている。 またJ-PARC MLF S2エリアで超低速ミューオン生成実験を行った。安定した収率を得るために、生成標的の個体差比較実験を行い、現在の測定精度の範囲で標的の収率に個体差はないことを確認した。また超低速ミューオンのエミッタンス測定実験を行った。分光実験用に開発された244nm光源と超低速ミューオン生成チェンバ、低速輸送ラインを用いて超低速ミューオンを生成、輸送しそのビーム品質を測定した。現在結果を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大強度の244nmパルス生成に成功したため。狭線幅の244nmパルスとしては世界最高クラスまで到達し、当初の計画である2光子過程を用いた超低速ミューオンの大量生成にむけて大きな一歩となった。ただしいまだ繰り返しが5Hzであることと、短期運用であることが今後の課題である。 また超低速ミューオン生成についても、単なる生成実証を超えて、標的の詳細な評価やビーム品質測定実験に踏み出せた。分光実験用の光源であるため強度は仕様は異なるものの、同じく2光子励起を用いた手法での超低速ミューオン生成であるため、本研究で構築するレーザーの構成についても多くの知見を得られた。
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今後の研究の推進方策 |
短期運用した244nm光源をJ-PARCの繰り返しに同期した25Hz駆動に改良し、中、長期的な運用試験を行うのが今後の方針となる。全固体光源とはいえ基本波で25Hzの光源は熱的な課題を抱えているため結晶の冷却やホルダーの詳細な検討を行う。 またもう一つの肝である多重反射系についても、すでに入手済みのミラー用いて耐力を評価し、もっともよい光学材質を決定する。これらをもってJ-PARCの繰り返し運転に同期可能な大強度244nmシステムを実証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初3月に購入予定であった消耗品を、納期を踏まえて購入を見送ったため。使用計画としては、次年度使用額と合わせて、計画に必要な消耗品を今年度上旬に改めて購入する予定である。
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