研究課題
潮汐矮小銀河は銀河同士の衝突の際にHIガスの一部が潮汐力によって放出されてできる潮汐尾(Tidal Tail)に沿って誕生した星形成活動が活発な低質量銀河であり、特殊な環境における分子雲衝突現象を調べるのに適した天体の一つである。この特殊な環境における分子雲衝突の性質を調べる準備研究として、野辺山45mを用いて、衝突銀河アンテナ銀河の潮汐尾を対象にCO(J=1-0)輝線の観測を行った。その結果、星形成が見られる領域だけでなく見られない領域でもCO輝線を検出し、分子ガスが存在することを明らかにした(Maeda+24)。この野辺山観測の結果を受けて、この領域の分子雲の性質と分子雲衝突の性質を調べるためのALMA望遠鏡を用いたCO(2-1)フォローアップ観測が実行中である。さらに、他の衝突銀河Stephan’s Quintetを対象としたACA CO(1-0)観測も実行中である。また、本研究と相補的である、普通の円盤銀河や衝突銀河本体での分子雲衝突研究も共同研究として進行中である。
2: おおむね順調に進展している
計画通り野辺山45mを使った観測とALMAでのフォローアップ観測が進んでいるため。
引き続き、野辺山45mとALMA望遠鏡を使って潮汐矮小銀河及び衝突銀河のCO観測を行い、分子ガスと星形成の関係の調査を進めていく。
本年度は想定より野辺山45mの観測時間が少なく抑えることができたため、使用料が少なくなったため繰越金が生じた。本年度は、潮汐矮小銀河及び衝突銀河の大規模観測を計画しており、それに伴う望遠鏡の使用料として使う。また、海外での研究成果発表のための交通費が予想より高くなっているため、それに充てる。
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The Astrophysical Journal
巻: 962 ページ: 4~4
10.3847/1538-4357/ad1932