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2023 年度 実施状況報告書

風台風・雨台風の決定因子と予測可能性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K13172
研究機関気象庁気象研究所

研究代表者

嶋田 宇大  気象庁気象研究所, 台風・災害気象研究部, 主任研究官 (60750651)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワード台風 / 風分布
研究実績の概要

本研究は、各台風の風分布や雨分布を特徴づけるとともに、どのような因子が台風の個性形成に貢献するか解明することを目的としている。初年度は、(1)衛星搭載合成開口レーダー(SAR)が観測した台風の風速(SAR風)分布を真値に台風の面的風分布を推定する手法を開発すること、(2)ハリケーンの観測データからどのような因子が風速分布の個性形成に影響しているか明らかにすることを目標とした。
(1)については、風速分布のパラメータ(最大風速Vmax、最大風速半径RMW、非対称構造、動径プロファイル)を推定する手法を開発した。
Vmax:SAR風から得られるVmaxをベストトラック(10分平均値)と整合するVmax値にどのように変換すべきか調査した。その結果、衛星雲パターンから台風強度推定する時に使用される「ドボラック変換テーブル」で1分平均値から10分平均値に変換する方法が最適であることなどがわかった。
RMW:衛星雲画像などから重線形回帰で推定する手法とマイクロ波衛星画像や赤外差分画像で得られる眼の大きさから一次回帰で推定する手法の二つを開発した。前者の推定精度は20km程度である一方、後者は数km程度である。前者は動径プロファイルも同時に推定可能である。
非対称構造:温低化台風は波数2構造を持つこと、衛星雲画像よりも数値モデルの風分布を第一推定値として利用すべきことなどを確認した。
(2)については、発達事例と定常事例の動径プロファイルを比較した。定常事例はサイズが大きく、RMWの外側に部分的な第二風速ピークやアウターレインバンドを持つ事例が多かった。このような特徴は、内部コア域への下層インフローのバリア効果を持ち、内部コア域の対流活動を弱化させうる。動径プロファイルの差異は、Vmax増加かサイズ拡大かの違いと関係づけられた。この調査から、台風の風分布形成の予測可能性につながる知見が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は、風台風・雨台風の分類に必要なデータの入手と台風の面的風分布を推定する手法の開発、及び台風の個性の予測可能性につながる知見が得られた。また研究成果をJpGUや気象学会で発表するとともに論文誌での発表及び論文誌への投稿を行った。おおむね計画通りに研究が進んでいる。また次年度に行う予定の統計的なデータ解析の準備も整いつつある。このようなことから、研究はおおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

2年目の研究計画として、風速構造パラメータの推定誤差をさらに低下させるための高度化を行う。各台風の風と雨のパラメータデータセットを構築する。そのデータを利用し、風台風・雨台風の客観分類方法を考案する。風台風・雨台風それぞれに共通する因子を特定するため、客観解析データ等を用いた統計解析を行う。これらの研究成果を国際学会や論文誌で発表する。

次年度使用額が生じた理由

物品費(ストレージ等)の購入で約9万円の節約ができたため次年度使用額が生じた。今年度は、米国気象学会ハリケーンカンファレンスでの発表に旅費として45万円を計上する。論文出版料に30万円、英文校閲費に10万円を計上する。学会参加費・投稿費に20万円、国内学会旅費に6万円、その他消耗品等に約8万円を計上する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Shear-Relative Asymmetric Kinematic Characteristics of Intensifying Hurricanes as Observed by Airborne Doppler Radar2024

    • 著者名/発表者名
      Shimada Udai、Reasor Paul D.、Rogers Robert F.、Fischer Michael S.、Marks Frank D.、Zawislak Jonathan A.、Zhang Jun A.
    • 雑誌名

      Monthly Weather Review

      巻: 152 ページ: 491~512

    • DOI

      10.1175/MWR-D-22-0340.1

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 台風の最大風速とはどんな物理量か2023

    • 著者名/発表者名
      嶋田宇大、伊藤耕介、堀之内武
    • 学会等名
      日本気象学会2023年度春季大会
  • [学会発表] Toward the Estimation of Tropical Cyclone Wind Structure in the Western North Pacific2023

    • 著者名/発表者名
      Shimada Udai
    • 学会等名
      JpGU meeting 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] 衛星データを用いた台風の最大風速半径(RMW)の推定2023

    • 著者名/発表者名
      嶋田宇大
    • 学会等名
      日本気象学会2023年度秋季大会
  • [学会発表] Tropical Cyclone Structure Estimation and Intensity Forecast Using GPM and GSMaP Data2023

    • 著者名/発表者名
      Shimada Udai
    • 学会等名
      Joint PI Meeting of JAXA Earth Observation Missions FY2023

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公開日: 2024-12-25  

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