研究実績の概要 |
本研究では、モンゴルZavkhanテレーンに分布する3~8億年前の火成岩・深成岩及び堆積岩から、残留磁化を抽出し、獲得機構とその時期を評価する。本研究では“二次磁化”にも焦点を当て、磁化履歴から地球磁場変動についての考察を試みる。 現在、770Maの年代が付けられた花崗岩と446Maの年代が付いている流紋岩の基本的な古地磁気・岩石磁気測定を進めている。(年代はBold et al., 2016およびKillan et al., 2016より) 花崗岩の岩石磁気測定から、主要な磁性鉱物はマグネタイトであることが明らかとなったが、磁区構成は多磁区粒子の割合が高めであった。低温消磁をかけると、減磁率が60%程度と極めて大きく、磁化の大部分は多磁区粒子起源のものである。その後の段階交流消磁の結果では60mT付近まで複数成分を示し、その後は不安定な挙動で最後まで消磁される。熱消磁の結果を見ると、540度以降で原点へ向かう直線が確認できることから、安定した単磁区のマグネタイトはわずかに存在しており、この成分が特徴的残留磁化成分であることがわかる。火成岩は形成時から長い年月をかけて冷却される過程での熱残留磁化の平均(e.g.~75kyr, Bono et al., 2019)であると考えられる。このことから540度以降の成分が初生磁化であれば、この情報から770Maの古地磁気方位や強度、古緯度情報を引き出すことができる。しかし、高濃度で含有される多磁区粒子の取り扱いについては今後検討する必要がある。 流紋岩の岩石磁気測定の結果からこちらも主要な磁性鉱物はマグネタイトであった。しかし、熱磁気分析の結果からマグへマイトが含まれている可能性が示唆された。交流消磁および熱消磁の結果はほぼ単成分であり、原点へ向かう特徴的残留磁化成分は確認されるものの、これが初生磁化であるかは検討する必要がある。
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